アルツハイマー病治療の現状と展望について

アルツハイマー病治療の新時代、新規治療薬の承認でどう変わるか
以下は、記事の抜粋です。


これまでのアルツハイマー病の治療では、症状重視の治療が何十年もの間、行われてきた。アラバマ大学のDavid S. Geldmacher氏は、アルツハイマー病の対症療法の根底となるエビデンスおよび疾患進行を遅らせる可能性のあるアミロイド低下療法に関する新たなデータをレビューした。

主な内容は以下のとおり。

・2021年から、アミロイド低下モノクローナル抗体療法が臨床使用されるようになった。
・2023年7月、米国食品医薬品局(FDA)より完全な承認を獲得した最初の薬剤としてレカネマブ(レケンビ®)が承認された。
・2024年7月には、ドナネマブ(ケサンラ®)も承認された。
・これらの薬剤は、脳からアミロイドプラークを除去し、臨床的な疾患進行を遅らせるが、脳浮腫または滲出液貯留および脳出血を伴うアミロイド関連画像異常といわれる重大な有害事象を来す可能性がある。
・そのため、定期的なMRIスキャンを含む広範な安全性モニタリングが求められる。
・2023年には、ブレクスピプラゾール(レキサルティ®)がアルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対して初めて承認された。
・オレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサント(ベルソムラ®)は、以前に軽度および中等度のアルツハイマー病患者における不眠症の治療薬として承認されている。
・軽度、中等度、高度のアルツハイマー病に対するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の使用については、認知機能スクリーニング検査の変化以外のアウトカムを含め、確固たるエビデンスが報告されている。
・より限定的な研究では、中等度および高度アルツハイマー病に対するメマンチンに使用が支持されている。
・これらの薬剤は、主に認知機能低下を遅らせ、有害な行動の発現を抑制する。
・認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する薬物療法は、予測が困難であり、ほとんどの臨床試験において、ネガティブな結果が報告されている。

著者らは「抗アミロイド療法は、アルツハイマー病の病理を一変させる初めてのFDA承認薬による治療オプションであるが、患者に対する全体的な有用性や価値を明らかにするには、もう少し時間が必要である」としている。


元論文のタイトルは、”Treatment of Alzheimer Disease(アルツハイマー病の治療)”です(総説をみる)。

現状を良くまとめてくれていると思います。アミロイド低下モノクローナル抗体療法のリアルワールドでの結果報告に注目しています。

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