野生のヤマネコをイエネコに変えた遺伝子とは?
以下は、記事の抜粋です。
ヤマネコからイエネコに変化する遺伝子はこれまで特定されていませんでしたが、PNASで発表された研究結果によると、猫のゲノムのシークエンス配列を識別することで、ヤマネコがどのようにして人間を含む他の動物に慣れていったのかがわかったとのこと。
肉食獣であるヤマネコの食生活を大きく変化させる脂肪代謝に関する遺伝子など、イエネコへの変化を示す281の遺伝子が明らかになったとのこと。
また、研究チームが22種のイエネコのゲノムについて、近東リビアヤマネコとヨーロッパヤマネコと比較した結果、野性的な性質から人間に友好的な変化をもたらす効果を持つ13の遺伝子も発見されています。
元論文のタイトルは、”Comparative analysis of the domestic cat genome reveals genetic signatures underlying feline biology and domestication”です(論文をみる)。
22種のイエネコと4種類のヤマネコの全ゲノムDNA配列を決めたそうです。シーケンサーを買ったけどやることが無くなってきて、趣味と実用を兼ねてやった仕事という感じがします。それにしても、たった9500年間でこれだけの遺伝子が変化するとは驚きました。
また、この変化はヒトがネコを無理矢理改良したのではなく、ヒトと一緒に生活できる個体が増えた結果で、ネコが勝手に進化(変化)したと考えられているようです。
ヒトに慣れるために急速に数多くの変化を示した遺伝子として、記事に書かれている脂肪代謝以外に、学習と記憶に関わるグルタミン酸受容体の遺伝子や発生時に神経堤の細胞の移動に関与する遺伝子などが同定されたそうです。
前者はいかにもヒトに慣れることに関連してそうですし、後者は脳のサイズや体の色をコントロールすると考えられており、ダーウィンが最初に指摘した、家畜化された動物は頭が小さく体色にも一定のパターンがあるという、不思議な現象を説明できるかもしれないそうです。
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