ホタルのオスを「女装」させるクモ、光操り別のオスを罠に…オニグモの巣にかかったオスの光り方がメスのように一変、どうやっているかは謎
メチャクチャおもしろい話です。以下は、記事の抜粋です。
日本でもごく普通に見られるオニグモが、とりわけ巧みな戦術を使ってホタルを自分の網に誘い込んでいるという。このクモは、網にかかったオスのホタルが発する光を操作して、あたかも交尾相手を求めるメスが光を放っているかのように見せかけ、別のオスをおびき寄せているようだ。
死のラブコール
武漢にある華中農業大学の傅新華氏は、博士課程在籍中の2004年に、野外でクモの巣を観察していたところ、ある奇妙な現象に気付いた。クモの罠にはまるホタル(Abscondita terminalis)がオスばかりだったのだ。さらに、網にかかった一部のオスは、メスが見せるような点滅パターンで光を放っていた。
詳しく調べるために、傅氏とその研究チームは、武漢郊外の、水田や池が点在する農村を訪れた。研究対象に選ばれたコガネグモ科のオニグモ(Araneus ventricosus)は、毎晩新しい網を張る習性があり、それがちょうどホタルが活動を始める時間帯と重なる。
研究チームは、虫取り網を使ってオスのホタルを捕らえ、細いピンセットでそのホタルをクモの網に乗せた。そして、複数のシナリオの下でそれぞれ何が起こるのかを、ビデオカメラを通して観察した。
傅氏によれば、オスのホタルが網にかかると、クモはまずホタルを包み込み、胸部にかみついて少量の毒を注入する。その後、網の真ん中にホタルを残し、自分は隅に隠れる。
しばらくするとホタルは、光る部分がメスのように小さくなったうえ、メスが交尾相手を引き寄せる単純なパターンで点滅しだした。
何が変化を起こしているのか?
しかし、ホタルの光り方を変化させている要因は何だろうか。傅氏らは、クモが何らかの形で毒を使って点滅パターンを操作しているのではないかという仮説を立てた。しかし、その仮説を裏付けるにはさらに多くの証拠が必要だ。
元論文のタイトルは、”Spiders manipulate and exploit bioluminescent signals of fireflies(クモがホタルの発光シグナルを操り、利用する)”です(論文をみる)。こういう世の中の役に立たないような研究が大切だと思います。
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