雌の性フェロモンで死んだふりから覚醒、害虫アリモドキゾウムシ…サツマイモを食い荒らす甲虫、捕食回避より繁殖を優先することを発見
以下は、記事の抜粋です。
捕食者から回避するために「死んだふり」をするアリモドキゾウムシのオスはメスの性フェロモンを感じると覚醒することを、琉球大学の日室研究員らが明らかにした。サツマイモ害虫であるアリモドキゾウムシの駆除には人為的に不妊化して大量に放す不妊虫放飼法が使われているが、性フェロモンをうまく組み合わせることでより効率的な駆除が可能になると期待される。
アリモドキゾウムシは、体長6ミリメートルほどのゾウムシ。東南アジアやアフリカ、北米、中南米、オーストラリアなど亜熱帯地域のほか、国内でも奄美諸島、沖縄諸島、小笠原諸島に生息する。サツマイモの害虫として知られ、食い荒らされたイモは黒く変色して悪臭を放ち、苦くなって食べられなくなる。
天敵であるクモや鳥の口に挟まれるような刺激を受けると、触角を折りたたみ、脚を硬直させて動かなくなる「死んだふり」をする。実際に死んだときの姿とは違うが、死んだふりをすることで天敵の捕食を回避する効果があるという。
日室氏は、カップごとに性成熟をしているオスやメスを一晩いれ、各々が出す匂いを充満させて同居したような条件をつくり、その中にピンセットで挟んで死んだふりを始めたアリモドキゾウムシを投入。死んだふりを継続する時間を調べた。
性フェロモンを出す性成熟したメスをいれていたカップにオスを投入する実験を20回繰り返すと、半分は3分以内に死んだふりをやめて覚醒した。性成熟していないメス(性フェロモンを出さない)や性成熟したオス(同)をいれていたカップになると覚醒するオスは減り、何も同居していないと、20分たっても半分以上が死んだふりを続けた。中には2時間以上死んだふりをするオスもいたという。メスでは同居するオスやメスによって死んだふりをする時間が短くなることはなかった。
死んだふりをしているアリモドキゾウムシのオスを、性フェロモンと似た化学構造を持つ酢酸エチルなどエステル類が充満した中でも覚醒が早くなるか調べたが、死んだふりをしているオスは性フェロモンが充満した中でのみ早く覚醒した。
アリモドキゾウムシは、捕食回避のためずっと死んだふりをすると繁殖のためにメスを探すことができなくなる。捕食回避と交尾相手の探索それぞれにどれだけ時間を割くかはトレードオフの関係にあるが、「メスが出す性フェロモンによって捕食回避よりも繁殖を優先することが初めて明らかになった」と日室氏は話す。
今後はオスの若さや交尾経験が性フェロモンによる死んだふりからの覚醒にいかに影響するかなどを調べ、性フェロモンを用いて既存の不妊虫放飼法の駆除効率を上げるための基礎的な生態学的知見を得ていきたいという。
元論文のタイトルは、”Mate search or predation avoidance? Sex pheromone interrupts death feigning of males in the sweet potato weevil Cylas formicarius(交尾相手の探索か捕食回避か? 異性のフェロモンはアリモドキゾウムシオスの死んだふりを中断する)”です(論文をみる)。
この前のキンスジアメガエルもそうですが、このオスも身の危険があってもセックスを優先するみたいです。生物種によっては、メスにもそういう形質はあっても良いと思うのですが、、、
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