Tofacitinib versus Methotrexate in Rheumatoid Arthritis
以下は、論文要約の抜粋です。
メトトレキサートは、関節リウマチに対するもっとも使用頻度が高い第一選択薬である。関節リウマチ患者に対して経口JAK阻害薬であるトファシチニブの単剤療法を、メトトレキサート単剤療法と比較した第3相試験の結果を報告する。
トファシチニブ投与例では、5mg群の25.5%と10mg群の37.7%が、6ヶ月の時点でACR70%改善を達成したのに対し、メトトレキサート群では12.0%であった。帯状疱疹と癌の確定例は、メトトレキサート投与例よりもトファシチニブ投与例で多く認められた。
新規ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブ(tofacitinib)はこのブログでも注目し、何度も記事としてとりあげています。日本でも既に発売されています。
トファシチニブは、JAKファミリーキナーゼ(JAK1、JAK2、JAK3、TYK2)の中でJAK1とJAK3を阻害すると考えられています。JAKは、サイトカインなどによって活性化され、STATファミリーの転写因子をリン酸化し、リンパ球の分化、免疫制御、炎症などにおいて重要な役割を果たしています。だから、トファシチニブを投与してこれらを阻害すると、有害事象として、ウイルス感染や発がんが増加するのでしょう。
今回の報告は、トファシチニブがメトトレキセートよりも関節リウマチによく効いたが、副作用も大きかったという話です。免疫・感染を抑制することが、副腎皮質ステロイドを連想させます。よく効く薬には必ず副作用があります。ステロイドのように、うまく使いこなせるようになることを期待しています。
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