「部分痩せ」は神話

おなかだけを引っ込めるような「部分痩せ」は幻想
以下は、記事の抜粋です。


ダイエットの広告の中には、特別なトレーニングやサプリでおなかや二の腕など特定の場所の脂肪を燃焼させられると主張するものもありますが、それらは神話に過ぎないと、シドニー大学で肥満の予防や治療を研究しているニック・フラー氏は指摘しています。「脂肪が減る場所を選ぶのはシンプルに不可能」として、その理由を次の3つに分けて解説しました。

1:人体は全ての脂肪をエネルギー源にするようにできている
体に蓄えられる脂肪は、トリグリセリドという形で貯蔵されます。フラー氏によると、人が食事から摂取する脂肪の約95%はトリグリセリドで、摂取されたものの消費されなかった未使用のエネルギーもトリグリセリドに変換されるとのこと。

トリグリセリドは脂肪細胞に取り込まれ、主に皮下脂肪または内臓脂肪として体の脂肪組織に貯蔵されます。こうして蓄えられた脂肪はダイエット、あるいは運動中のエネルギーとして使用されますが、「腹筋を動かすとおなかの脂肪を使う」という具合に、筋肉は特定の体脂肪の脂肪に直接アクセスしているわけではありません。

その代わりに、人体ではトリグリセリドは遊離脂肪酸とグリセロールという化合物に変換され、血流に乗って筋肉に運ばれます。つまり、運動のために筋肉に供給されるエネルギーは、体内のあらゆる脂肪から運ばれてくることになります。

また、合計1100人が参加した13件の研究をまとめた2021年のメタアナリシスでも、局所的な筋力トレーニングは局所的な脂肪沈着に効果がない、つまり特定の部位の運動がその場所の脂肪を減らすことはないとの結果が報告されています。

フラー氏は「部分痩せができると主張する研究は、参加者が少なく、臨床的に意味のある結果とは言えません」と話しました。

◆2:脂肪がつく部位と減る部位は自動的に決まる
2014年の研究によると、体脂肪の分布の指標であるウエスト・ヒップ比の最大60%は遺伝子に左右されるとのこと。つまり、脂肪の付き方やどこから脂肪が減るのかといった傾向の大半は遺伝で最初から決まっており、親が「顔から太って顔から痩せる」という体質の人は自分もそうなる可能性が高いことになります。

性別も関係しており、特に女性の体は妊娠や授乳のために脂肪を蓄えるようにできているため、ウエスト回りや太ももなどの脂肪は維持されやすい一方、出産への影響が少ない顔、ふくらはぎ、腕の脂肪は落ちやすいとのこと。また、脂肪が落ちるスピードは加齢による筋肉量や代謝、ホルモンバランスの変化の影響を受けるほか、中高年の男性や閉経後の女性は体の中央部に内臓脂肪が蓄えられる傾向があります。

◆3:市販の薬やサプリメントでは効果的に脂肪を減らすことはできない
世の中には「おなかの脂肪を減らす」といったうたい文句の薬や栄養補助食品があり、それらの多くは臨床試験や科学的根拠によって裏付けられていると宣伝されています。しかし、第三者が実施した独立研究はそうした主張を支持していません。

フラー氏が研究チームを率いた、減量を主張する栄養補助食品や漢方薬を120種類以上を調べた2つの研究では、どれも過体重や肥満の人の脂肪を有意に減少させるという結果が得られませんでした。

◆結論
これらの理由により、部分痩せはできないことが示されていますが、これは気になる場所の脂肪を落とすのが不可能という意味ではありません。運動をすると、特定の部位の脂肪を減らす代わりに、筋肉量を維持したり全体的な体脂肪を燃焼させたりできるので、長期的な体形の変化や体重管理に役立つからです。


日本での広告をみてみると、サプリや漢方による部分痩せを宣伝するものは少なく、医師が関与する「メディカルダイエット」なるものが多いことがわかりました。「脂肪溶解注射」とか「脂肪除去手術」とかけっこう過激です。部分痩せはできそうですが、、、

コメント

タイトルとURLをコピーしました