心房細動治療:パルス電界(フィールド)アブレーション

新しいカテーテルアブレーション治療で心房細動の治療が向上か
以下は、記事の抜粋です。


これまでより短時間で処置できる上に安全性も高まった心房細動の治療法が、半年以内に使えるようになる可能性があるようだ。パルス電界アブレーションと呼ばれる、従来の熱や冷却剤の代わりに電気を使うこの新しいシステムの有効性と安全性を臨床試験で検討した結果、目標を上回る結果が得られたことが報告された。

心房細動では、疲労感や胸痛などの症状が生じるが、最も重要なのは脳卒中リスクが高まることである。心房細動に対しては、薬物療法か、カテーテルアブレーション治療を行うのが通常である。カテーテルアブレーションは、高周波電流を使って異常な心臓の組織を焼き切るカテーテル心筋焼灼術と、冷却剤により組織を凍結するカテーテル心筋冷凍焼灼術に大別される。カテーテル心筋焼灼術では、処置に2〜3時間(時にはそれ以上)を要し、ターゲットとする組織の周囲にまでダメージを与えてしまうことがあるという。これに対して、わずか30秒ほどのパルス電流を流して行うパルス電界アブレーションにかかる時間は1時間足らずであり、周辺組織にダメージを与えることもない。

今回の臨床試験では、Medtronic社が開発したPulseSelect Pulsed Field Ablation(PFA)と呼ばれるシステムが使用された。試験の対象は、米国、カナダ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、フランス、日本、オランダ、およびスペインの薬剤抵抗性心房細動患者で、最終的に、発作性心房細動患者150人と持続性心房細動患者150人が登録され、治療を受けた。

その結果、パルス電界アブレーションによる処置後3〜12カ月の間に発作が生じなかった患者の割合は、発作性心房細動患者で66.2%、持続性心房細動患者で55.1%であることが明らかになった。この率は、カテーテル心筋焼灼術による治療と同等だという。有害事象の発生率は、発作性心房細動患者と持続性心房細動患者でともに0.7%(1人)であった。

こうした結果を受けて研究者らは、「パルス電界アブレーションは、従来のカテーテルアブレーションよりも短時間で安全に実施でき、その治療効果も従来の治療法に引けを取らない」と結論。「この技術は、今後、カテーテル心筋焼灼術に取って代わることになるだろう」との見方を示している。


元論文のタイトルは、”心房細動の治療のためのパルスフィールドアブレーション: PULSED AF Pivotal トライアル”です(論文をみる)。以下に日本人による解説動画があります。

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