過酷な労働条件のために、カタールW杯スタジアムなど関連施設の建設現場で死亡したアジアからの出稼ぎ労働者は6000人以上だという報道があります。

カタールW杯、欧州で広がる抗議活動 人権侵害を懸念
日経が報道してNHKがまったく報道しないカタールでの人権問題です。以下は、記事の抜粋です。


中東で初の開催となるカタールでのサッカーワールドカップ(W杯)の開幕まで1カ月を切った。だが欧州では、カタールで大会施設の建設に携わった外国人労働者らへの非人道的な扱いなどを背景に、抗議活動が広がっている。

フランスでは、主要都市が相次いでW杯のパブリックビューイングの中止を決めた。パリのほか、マルセイユ、リールなどが試合中継の「ボイコット」を宣言した。「W杯を一切報道しない」とした仏日刊紙もある。

今回のW杯が批判の的となっている理由の一つが、スタジアムなど関連施設の建設現場で指摘されてきた過酷な労働環境だ。欧米メディアなどによると、建設現場で死亡したインドやパキスタンなどアジアからの出稼ぎ労働者は6000人以上だという。

マルセイユのベノワ・パヤン市長は「今大会は人間と環境をめぐる惨事と化している。スポーツ、特にサッカーを通じて広がる価値観とは相いれない」と指摘する。ベルギーやドイツなどサッカー強豪国でも、バーやカフェなどの店内での「W杯観戦」を取りやめる動きが出ている。

抗議活動は選手のユニホームにも波及している。デンマークのスポーツブランド「ヒュンメル」は、SNSで同国代表のユニホームを発表。赤と白に加え、黒のユニホームを紹介した。「カタールの人権問題に対する抗議だ。代表チームを支援するが、何千人もの命を犠牲にした大会へのサポートと混同すべきでない」と指摘した。

カタールがLGBTQに不寛容であることも各国の反発を招いている。カタールでは同性愛行為などは法律で禁じられている。英メディアによると、イングランド代表のキャプテンを務めるハリー・ケーン氏は多様性を象徴するレインボー柄のアームバンドを身につけてW杯に参加する。デンマークやドイツなども賛同し、欧州13チームのうち8チームのキャプテンが同様のアームバンドを着けて試合に臨み、LGBTQへの理解を訴える意向だ。

FIFAは17日、チケットが予定された300万枚のうち289万枚を販売したと発表した。


以下は、この記事への池上彰氏のコメントです。


カタールに限らず、UAE(アラブ首長国連邦)など湾岸諸国の多くも、現場の建設労働者はイスラム教徒のインド人に頼っています。UAEでは建設労働者はインド人、タクシー運転手はパキスタン人と、出身国別に労働場所が分かれています。カタールにしてもUAEにしても夏の外気温は50度にも達します。ヘルメットをかぶっての外での重労働の辛さは筆舌に尽くしがたいものがあります。それだけ働いても永住権は与えられず、仕事が終われば帰国させられます。外国からの労働者は「労働力」としてしか見られていません。どこかの国にも似たような側面がありますが。国際大会を開催することは、その国の人権状況もまた国際的に注視されるのです。


日本では、NHKや他の大メディアがまったくとりあげないためか、ほとんど話題になりませせんが、取り扱ってほしい問題だと思います。ついつい観ハマってしまいますが、大きなスポーツ大会は、必ず裏で酷いことが起こっていると考えて良さそうです。

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