ビタミンD補給、中高年において骨折予防効果なし
以下は、記事の抜粋です。
ビタミンD欠乏症、骨量低下、骨粗鬆症を有していない概して健康な中高年以上の集団では、ビタミンD3を摂取してもプラセボと比較し骨折リスクは有意に低下しないことが、ハーバード・メディカル・スクールのMeryl S. LeBoff氏らが行った研究で示された。ビタミンDサプリメントは、一般集団において骨の健康のために広く推奨されている。しかし、骨折予防に関するデータは一貫していなかった。
50歳以上の男性と55歳以上の女性を対象に、ビタミンD3(2,000 IU/日)、n-3系脂肪酸(1g/日)、またはその両方の摂取により、がんや心血管疾患を予防できるどうかをプラセボと比較した無作為化比較試験である。選択基準にビタミンD欠乏症、骨量低下、骨粗鬆症は含まれていない。
主要評価項目は全骨折、非椎体骨折、股関節骨折の初回発生で、計2万5,871例(女性50.6%、黒人20.2%)がビタミンD3+n-3系脂肪酸、ビタミンD3+プラセボ、n-3系脂肪酸+プラセボ、プラセボ+プラセボの4群に無作為に割り付けられた。追跡期間中央値5.3年において、1,551例に1,991件の骨折が確認された。
初発全骨折は、ビタミンD群(ビタミンD3+n-3系脂肪酸群およびビタミンD3+プラセボ群)で1万2,927例中769例、プラセボ群(n-3系脂肪酸+プラセボ群およびプラセボ+プラセボ群)で1万2,944例中782例に認められた(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.89~1.08、p=0.70)。同様に非脊椎骨折はそれぞれ721例および744例(0.97、0.87~1.07、p=0.50)、股関節骨折は57例および56例(1.01、0.70~1.47、p=0.96)に認められ、いずれもビタミンD群とプラセボ群で有意差はなかった。
なお、著者は研究の結果は限定的なものであり、骨粗鬆症または骨軟化症患者、高齢の施設入所者には一般化されない可能性があるとしている。
元論文のタイトルは、”Supplemental Vitamin D and Incident Fractures in Midlife and Older Adults(中高年者におけるビタミンDサプリメントと骨折の発生状況)”です(論文をみる)。
ビタミンD欠乏症、骨量低下、骨粗鬆症を含まない研究という事ですが、除外された対象にはサプリを摂ることで骨量低下や骨粗鬆症を免れたヒトがいるかもしれないのが気になります。悩ましい報告です。
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