以下は、記事の抜粋です。
研究用機器メーカー「ライフテクノロジーズ」(Life Technologies)は4月13日、ヒトゲノムの解読を1000ドル(約8万円)でできる装置を10月に発売すると発表した。現状に比べ5分の1以下と安く、解読時間も2週間から1日以内と大幅に短縮した。
ヒトゲノムは約30億対の塩基と呼ばれる4種類の化学物質からなり、この塩基の組み合わせで遺伝子が構成される。
開発された装置はオフィスにあるプリンター大。半導体の上に塩基の種類を読み取るセンサーを配置して、解読効率を大幅に向上させることに成功した。
理化学研究所など日米欧の研究チームが参加した国際プロジェクト「ヒトゲノム計画」がほぼ完了した00年当時、解読には1億ドル程度かかっていた。
同社日本法人の熊井広哉マーケティングマネジャーは「数年前まで1000ドルゲノムは夢物語だった。将来的には多くの人の病気の治療に役立ててほしい」と話す。
おそらく、以下のニュースだと思います。
ライフテクノロジーズ、半導体シーケンサー「Ion Proton」を公開
ライフテクノロジーズジャパンは、半導体チップでゲノムシーケンスを読み取るシーケンサー「Ion Proton」を2012年4月13日に公開した。2012年1月に受注開始を発表していたもの。製品の出荷は2012年10月上旬を予定している。
また、同じ日に「ライフテクノロジーズジャパン、遺伝子変異の網羅的変異解析サービスを開始」というプレスリリースもあります(リリースをみる)。
こちらでは、「研究者が調べたい遺伝子領域を自由に選定し、マルチプレックスPCRで増幅するためのプライマーを1反応あたり最大1,536セットまで設計するカスタムパネルサービスを日本市場で、本日より開始します。増幅されたDNAは、ライフテクノロジーズの次世代シーケンサIon Torrentでの解析で、わずか3.5時間で全変異を確認することができます。これにより、癌遺伝子を始め様々な遺伝子変異の網羅的解析を飛躍的に効率化することになりました。」と書かれています。
さらに、「プライマーパネルは、専用ウェブサイトで最大250Kbまでの領域について最短2時間半で設計できますが、これは2012年中に1Mbまで拡大されます。分析規模は遺伝子数個から数百個まで容易に拡大でき、そのいずれも1日で完了します。」とあるので、がん遺伝子やがん抑制遺伝子など、研究者が自由に選んだ遺伝子セットの変異配列決定ができるようです。がんの個別治療に役立つ可能性があります。
競合機種であるIllumina社のHiSeq 2500との比較記事もあります(記事をみる)。日本は、「ミレニアム・プロジェクト」などで多額の金はつぎ込みましたが、次世代あるいは次々世代シーケンサー開発などの技術革新には全く貢献できませんでした。「出る杭を叩き潰す」社会風土のせいだと思います。
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