以下は、記事の抜粋です。
ある Anonymous Coward 曰く、「日本で若手研究者の数が減っている」というニュースが、Nature に掲載されている (Nature Newsの記事をみる) 。
日本政府による歳出削減のため、日本の大学から若手研究者が締め出されているという話だ。実際、日本の大学における35歳以下の研究者数はここ30年で3割以上減っているという。研究者の数自体は増えているものの、若手が減っているため、大学の研究者においても「高齢化」が進んでいる状態だ。
特に、過去20年間においての政府の方針転換は大きな影響を与えたという。1990年代の「大学院重点化」は多くの博士を生んだが、2001年以降は大学の人員削減を行ったため、若い研究者の就職先がなくなる状況となった。さらに、大学への資金援助に競争的な概念を持ち込んだため、長期間にわたるプロジェクトを立ち上げにくくなり、その結果研究者らの立ち位置が不安定になっているという。
これにより日本の研究能力の低下も発生しており、Elsevier の SciVerse Scopus データベースによると、2006年から2010年にかけて、英国の大学が発表した論文の数は12.7%の増加、ドイツでは15%の増加が見られたのに対し、日本の大学が発表した論文の数は4.3%の減少だったそうだ。
労働基本法の改正による影響などもあるようだ (Togetter のまとめ) 。
元記事のタイトルは、”Numbers of young scientists declining in Japan”です(記事をみる)。内容は、内閣府の「総合科学技術会議」が日本の次世代の研究を担う若いリーダーたちが危機にあるという懸念を表明したというものです。
会議が近く公表する予定のレポートによると、過去30年間で大学教員の数は50,000人から63,000人に増えたが、35歳以下の若手教員の数は10,000人から6,300人に減ったそうです(下図)。2010でみると、60歳以上が35歳以下よりも多いように見えます。任期つき教員も含めての数字ということですので、本当に恐ろしい状況です。
他にも関係者の発言として、外部競争的研究資金は継続的な雇用創出にはつながらないとか、65歳への定年延長措置が事態を悪化させているとかいう当たり前のことが書かれています。また、1つの解決策として、基礎研究への政策投資を増やし、それを特に小規模な大学・研究機関へと分配し、若手研究者に雇用機会を与えようという、あり得ない寝言のようなことも書かれています。
「総合科学技術会議」関係者の多くは、地方大学などへの運営費交付金の削減、外部競争的研究資金による研究者雇用などの方針を推進し、現在における長老支配体制を享受しているのだとばかり思っていました。
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