「一卵性双生児の遺伝情報は同一ではない」ことが明らかになってきた

「一卵性双生児の遺伝情報は同一ではない」ことが明らかになってきた
常識だと思っていたことが覆りました。以下は、記事の抜粋です。


1つの受精卵が2つに分かれて生まれる一卵性双生児は、同一の遺伝情報を持ち、それぞれの身体的特徴や心的特性は、遺伝的要因よりも環境的要因によるものだと考えられてきた。しかし、近年、一卵性双生児の間で異なる遺伝情報があることが明らかになってきた。

米アラバマ大学の研究チームは、2021年1月7日、「初期発生段階で発現した平均5.2個の突然変異により、一卵性双生児は異なる遺伝情報を持つ」との研究論文を発表した。

なかでも、約10.2%にあたる39組で100個以上の突然変異があった。その一方で、遺伝情報が同一であったのは38組で、全体の約9.9%にとどまっている。また、一卵性双生児の約15%では、初期発生段階で発現した突然変異が一方の双子に顕著に多くみられ、他方にはみられなかった。

研究チームは、全ゲノムシーケンスにより、「どの突然変異がどの双子で発現し、これらの突然変異のうちのいずれが子に継承されるのか」を追跡するとともに、双子間で共有されるものの、すべての細胞に均質に存在しない「モザイク現象」を調べた。

「モザイク現象」は、卵子が受精した後、受精卵が2つに分かれる前に突然変異が生じたことを示す。その結果、突然変異は、受精卵が2つに分かれる前に発現したこともわかった。

遺伝子の突然変異と関連するとみられる自閉症やその他の発達障害は、双子の一方で発症することがある。研究チームは、一連の研究結果をふまえ「このような表現型の差の形成において、遺伝的要因の役割が過小評価されてきたのではないか」と考察している。


これまで、一卵性双生児の遺伝情報は同一という前提で多くの医学研究が行われてきましたが、今後は大きく考え方が変わると思います。具体的には、遺伝的要因が発症に関わると考えられる病気で、双子の一方にしか発症していない場合は、全ゲノムの配列決定を行って比較し、変異遺伝子を調べる事が行われるようになると思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました