最も使われている降圧薬は「ディオバン」、2位「ブロプレス」、3位「アーチスト」
以下は、記事の抜粋です。
日経メディカル オンラインが会員医師を対象に2010年12月9日から20日まで「高血圧治療に関する調査2010-2011」を実施し、計891人から回答を得た。内訳は、循環器内科25.9%、その他の内科41.9%、その他の診療科31.3%。
調査では、外来高血圧患者の降圧目標達成率、高血圧患者数の動向、高血圧患者に多い合併症、第1選択薬あるいは第2選択薬に選ぶ系統、降圧薬を選択する際に考慮する点などを尋ねた。また処方薬については、現在処方されている銘柄を挙げてもらい、その選択理由と評価についても明らかにした。
現在処方している銘柄で最も多かったのは「ディオバン」で78.7%。2位は「ブロプレス」(78.1%)、3位は「アーチスト」(77.8%)。循環器内科では、1位が「アーチスト」(93.5%)、同率2位が「カルデナリン」と「ブロプレス」(それぞれ87.4%)。循環器内科以外のその他の内科では、「ディオバン」が81.6%で1位、「カルデナリン」が79.9%で2位、「ブロプレス」が79.1%で3位。その他の診療科では、「アムロジン」が73.0%で1位、「ラシックス」が72.3%で2位、「アダラート」が71.6%で3位だった(表参照)。
配合剤に絞ってみると、処方率は、全体では「プレミネント」が48.6%で1位だった。「エカード」が30.8%、「コディオ」が29.5%で続いた。
なお、前回調査と比べて処方率が大きく伸びた銘柄は、直接的レニン阻害薬の「ラジレス」、配合剤の「エカード」「コディオ」「ミコンビ」、アルドステロン阻害薬の「セララ」などで、例えば循環器内科では、それぞれ10ポイント以上伸びていた。
1位 | 2位 | 3位 | |
全体 | ディオバン(78.7%) | ブロプレス(78.1%) | アーチスト(77.8%) |
循環器内科 | アーチスト(93.5%) | カルデナリン87.4%) ブロプレス(87.4%) |
|
その他の内科 | ディオバン(81.6%) | カルデナリン(79.9%) | ブロプレス(79.1%) |
その他の診療科 | アムロジン(73.0%) | ラシックス(72.3%) | アダラート(71.6%) |
循環器内科と「その他の内科」さらに「その他の診療科」でかなり処方が異なる点が面白いと思いました。循環器内科でカルベジロール(アーチスト®)が1位なのは、狭心症や心筋梗塞後の患者さんが多いからかななどと考えました。
また、「その他の診療科」では、ニフェジピン(アダラート®)が頑張っているのにも驚きました。私は、完全にアムロジピンに駆逐されたものと思っていました。
「プレミネント」「エカード」「コディオ」「ミコンビ」はすべてARBとヒドロクロロチアジドの合剤です。アメリカでは、関連記事に書いたように、3剤配合(ARB・アムロジピン・ヒドロクロロチアジド)やアリスキレン(ラジレス®)・アムロジピンという「究極の」配合剤も登場しています。
また、今の日本の高血圧治療ガイドラインでは、単剤から始めて、効果が不十分な場合には2剤併用、3剤併用へというのが標準的な薬物治療とされていますが、関連記事のように、早期から2剤併用することで、短期的なリスクの回避と長期的な良好な血圧コントロールの両方が期待できるという報告もあるので、将来は配合剤が高血圧治療薬のトップを獲得するかもしれません。
以下の表にに、ランキング上位薬物をまとめておきます。
一般名 | 英語の一般名 | 薬理作用 | メーカー | |
ディオバン | バルサルタン | Valsartan | ARB | ノバルティス |
ブロプレス | カンデサルタン | Candesartan | ARB | 武田 |
アーチスト | カルベジロール | Carvedilol | αβ遮断 | 第一三共 |
カルデナリン | ドキサゾシン | Doxazosin | α1遮断 | ファイザー |
アムロジン | アムロジピン | Amlodipine | Ca拮抗 | 大日本住友 |
ラシックス | フロセミド | Furosemide | ループ利尿 | サノフィ・アベンティス |
アダラート | ニフェジピン | Nifedipine | Ca拮抗 | バイエル |
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