レムデシビルによる新型コロナウイルス感染(Covid-19)治療—速報
以下は、論文抄録の和訳です。
背景
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の治療のためにいくつかの治療薬が評価されているが、どれもまだ有効性が示されていない。
方法
Covid-19 で下気道病変を認めた成人患者を対象に,レムデシビル静注の二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した.患者は、レムデシビル(1日目に200mgのローディング用量を投与、その後、1日100mgを最大9日間投与)またはプラセボを最大10日間投与するように無作為に割り付けられた。主要アウトカムは回復までの時間。ここでの回復とは、退院または感染のコントロールのみを目的とした入院と定義した。
結果
合計1063名の患者が無作為化された。安全性モニタリング委員会は、レムデシビル群で回復までの時間が短縮されたという解析結果に基づき、早期の盲検化解除を推奨した。無作為化後のデータが入手可能な1059人の患者(538人がレムデシビル群、521人がプラセボ群)の予備的な結果から、レムデシビル群の回復時間中央値は11日(95%信頼区間[CI]、9~12)であり、プラセボ群では15日(95%CI、13~19)であった(回復率比、1.32;95%CI、1.12~1.55;P<0.001)。14 日目までの死亡率の Kaplan-Meier 推定値は、レムデシビル投与群で 7.1%、プラセボ投与群で 11.9%であった(死亡のハザード比、0.70;95% CI、0.47~1.04)。重篤な有害事象は、無作為化を受けたレムデシビル群541例中114例(21.1%)、無作為化を受けたプラセボ群522例中141例(27.0%)で報告された。
結論
コビド-19 と下気道感染の証拠がある成人の入院患者において,レムデシビルはプラセボよりも回復までの時間を短縮する点で優。れていた。
“preliminary(予備的)”とはいうものの、1063例の無作為化試験の結果です。ようやく、レムデシビルの効果が分かったという感じです。それにしても微妙な効果です。
抗ウイルス作用をアビガン®(ファビピラビル)などと比べた報告によると、レムデシビルは最強の抗ウイルス効果を示したとされています(報告をみる)。この結果を信じると、抗ウイルス効果だけでは、特効薬にはならないと思われます。
政府があれだけ「アビガンに期待する」圧力をかけると、無作為化試験はできないと思いました。この試験のように、有効であると判断すれば早期の盲検化解除をすれば良いだけなのですが、今後も日本ではアビガン®(ファビピラビル)のまともな臨床試験はできないでしょう。
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