正答率が一定の基準以下で採点対象外とすべき問題を採点対象とした教授が諭旨解雇処分に

卒業試験不正採点で留年、元鹿大生が教授ら提訴

以下は、記事の抜粋です。


鹿児島大歯学部の卒業試験で不正な採点が行われて学生8人が留年した問題で、富山市の元男子学生(31)が「歯科医師国家試験を受験できず不利益を被った」として、同大や採点担当の50歳代の男性教授らを相手取り、2520万円の損害賠償を求めて鹿児島地裁に提訴したことがわかった。

訴状によると、元学生は2008年度の卒業試験で、合格点だったにもかかわらず不合格とされたため、09年2月の国家試験を受験できず、「少なくとも1年間、歯科医師になるのが遅れた」としている。

同大によると、教授は04年度から1人で採点を担当。08年度は意図的に採点基準を厳しくし、5人を不合格とした。「国家試験の合格率を上げるため全体で5-10人を不合格にしようと思った」と説明しているという。05年度も3人が不正採点で留年した。

同大は8月20日、教授を諭旨解雇、3人を停職や戒告とする懲戒処分を発表。教授は異議を申し立て、処分は決定していない。

同大広報センターは「訴状の内容を確認して、対応については今後検討する」とコメントしている。


上の記事は9月28日の読売の記事ですが、10月9日の時点で既にリンク切れになっていました。続いて報道された10月2日付けの下の記事は、9日の時点ではみることができましたが、10日にはリンクが切れていました。

鹿児島大歯学部卒業試験不正問題で教授を諭旨解雇

以下は、抜粋です。


鹿児島大歯学部の卒業試験で採点担当の教授が意図的に学生8人を留年させた問題で、同大は1日までに、50歳代の男性教授を諭旨解雇、いずれも60歳代の男性教授1人を停職2か月、2人を戒告とする懲戒処分を行った。諭旨解雇は9月30日付で、この教授は同日、辞表を提出した。

大学の発表によると、諭旨解雇の教授は、正答率が一定の基準以下で採点対象外とすべき問題を独断で採点対象とした。このため、2005年度は3人、08年度は5人が本来は合格していたのに不合格となり、留年した。教授は処分を不服とし、「故意ではなくミス」などとする陳述を行ったが、大学側は却下した。

また、不合格となった学生の情報開示請求を断るなどした教授1人を停職、教授会へ報告する書類のチェックが不十分だったとして2人を戒告とした。

吉田浩己学長は記者会見で「極めて重く深刻に受け止めている」と謝罪。学長らが給与の一部を自主返納するとした。同大は、8人をさかのぼって卒業扱いとし、賠償金支払いや学費返還を申し出たが、和解したのは1人だけ。別の1人から2520万円の損害賠償訴訟を起こされている。


先日、教員の懇談会で試験の出題や採点に関する話題を話し合いました。

私は、試験の出題意図や採点基準は明確にし、請求があった場合には開示しなければならないという意見を述べたのですが、驚いたことに、出題や採点は教員の意思でどうにでもなるし、開示する必要もないという意見を述べられる方がおられました。その方が実際にどうされているかはわかりませんが、あぶないと思いました。

私は、上の鹿児島大の事件のことを持ち出してもっと議論しようかとも思ったのですが、懇談会の空気をあまり乱したくなかったので、議論を避けてしまいました。地位も実績もある方の発言ですので、若い教員への影響が心配です。

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