寂しさはインフルエンザのように「感染」?、交絡因子の重要性

世界の雑記帳:寂しさはインフルエンザのように「感染」=米研究

以下は、記事の抜粋です。


米国の研究チームは、寂しさがインフルエンザのように人から人へ「感染する」との調査結果をまとめた。シカゴ大、カリフォルニア大サンディエゴ校、ハーバード大の研究者らによると、寂しさは集団の間で広がっていき、男性よりも女性の方がその傾向が強いという。

研究チームは今回の調査にあたり、1948年から計5000人以上を対象に循環器疾患などを調べたフラミンガム心臓研究の記録を分析した結果、寂しいと感じている人は悲しげな気持ちを周囲の人に波及させる傾向があり、最終的に社会から孤立していくことが分かったとしている。

人は寂しくなると他人を信用にくくなり、そのせいで友情を形成するのがさらに難しくなる悪循環に陥ると指摘している。

調査結果は学術誌Journal of Personality and Social Psychologyの12月号に掲載されている。


論文のタイトルは、”Alone in the crowd: The structure and spread of loneliness in a large social network. “です。
同じ内容をあつかっているwired visionの記事によると、研究チーム(CacioppoChristakisら)は、マサチューセッツ州フラミンガムを中心に、長年にわたって行なわれている健康調査のデータ「フラミンガム調査(Framingham Heart Study)」を活用しました。

このフラミンガム調査では、フラミンガムという小さな町で何千人という人を60年以上追跡し、心身の健康状態、習慣、食事を記録しています。

面白いのは、wired visionはこの研究に批判的な研究者(Fletcher)を紹介していることです。Fletcherは、似たもの同士が友人になる傾向や、環境による影響からの解釈を排除するには、一連の研究の対照群は不十分だと話しています。

Fletcherは、社会的に伝染するとは思われない、ニキビや頭痛、身長が、同様にネットワークを通じて伝染するように見えることを示した論文(論文をみる)を、幸福感が伝染するというChristakisの論文(論文をみる)と同じ号のBritish Medical Journalに掲せています。

Fletcherは、このような場合に「交絡因子(confounder)」と呼ばれる因子を除外することが重要だと主張しています。

交絡因子とは、「コーヒー好きに肺がんが多い」という結論を出す場合に、「コーヒー好きに喫煙者が多い」事実があれば、それは結論を阻害する交絡因子となります(交絡因子の説明をみる)。この交絡因子を除外するためには、非喫煙者でコーヒー好きに肺がんが多いかどうかを調べる必要があります。

寂しい人の友達に寂しい人が多い、という場合の交絡因子を考えてみました。経済的な貧しさが、寂しさや人間関係に影響する可能性があれば、「経済的に貧しい」ということが交絡因子になります。

他にも交絡因子はありそうです。マスコミ受けは良さそうですが、交絡因子の影響を完全に除外することが難しいテーマだと思いました。

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