「霜降り肉」はビタミンA欠乏で作る!

ビタミン欠乏で作る!「霜降り肉」の衝撃事実
昨日に続いて今日も「WAGYU」の話です。霜降り肉を持つウシは、βカロテンを含む生きた緑の葉を与えずに、ビタミンA欠乏症にして作ります。これは、霜降り肉のイメージを下げるので、メディアはほとんど報道しませんが、業界では周知の事実です。以下は、その現状を解説した2016年の記事の抜粋です。


肉に含まれる粗脂肪量が50%を超えるような牛肉がどのようにして生まれたのか、大きく2つの要因がある。まずひとつは品種改良というもので、サシが入りやすい血統の牛を選抜していくことで昔よりもサシが多量に入るようにしたこと。もうひとつが、人為的にサシを入れる技術であるビタミンコントロールだ。

どんなものか。実際には「コントロール」というよりも「ビタミン欠乏」と言ったほうがよい。肥育期間をいくつかに分けたうちの中期と呼ばれる段階で、餌に含まれるビタミンAを制限、つまり与えないようにする。

ただし、おわかりのとおり、ビタミンAは必須栄養素である。それを制限しすぎると、当然ながら牛に悪影響を及ぼすこともある。そこで、健康状態は保ちつつもサシや肉の歩留まりを向上できるようなギリギリの欠乏状態を保つというのが「ビタミンコントロール」なのである。ただし「コントロールしている」とはいえ、ビタミン欠乏が一定以上になると、牛の目が見えなくなったりと、さまざまな病気が発生しやすくなる。粗脂肪量が50%以上にもなるのだから、ビタミン欠乏以外の要因によっても、肉牛の体調は悪くなる。

やはり、一時的にビタミンAを欠乏させることでサシを入れるということを聞いて、快いと感じる人もあまりいないだろう。近年、欧米で叫ばれているアニマル・ウェルフェア(動物福祉)の観点からも、批判されてしまいそうな技術である。


以前、モンゴルから来た留学生が神戸ビーフのウシをどのように育てているのか知りたいと言ったので、神戸大学の農学部の先生数人に質問してみました。しかし、誰も答えてくれませんでした。ビールを飲ませて大切に育てるなどと思っている先生もいました。

いろいろ調べて、農業高校に畜産コースがあることを知り、ある農業高校に問い合わせたところ、担当の先生は非常に親切に対応していただき、見学もさせていただきました。農業高校では、学生実習用の牛舎があり肉牛用の和牛を飼っていました。そこで初めてウシをビタミンA欠乏にするとサシが入ることを知りました。種牛に選ばれたウシ以外のすべてのオスは生まれてすぐに去勢されることも知りました。その方が肉が柔らかくなるそうです。

農業高校の先生によると、肉牛用のウシでなくても、例えば乳牛用のホルスタインでも、ビタミンA欠乏にすればサシが入るそうです。肉牛用のウシは一定間隔をおいて採血し、健康を害さない程度に血中ビタミンA値が低いことをモニターしながら育てるそうです。ちなみに、このようなウシでは対光反射がかなり遅くなるそうで、対光反射の時間でおおよそのビタミンA血中濃度がわかるという研究報告までありました(研究報告をみる)。

この事実を知ってから、それほど霜降り肉を食べたいと思わなくなりました。

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