過去最高42.3兆円 医療費・大幅増の「主犯」とは
以下は少し古いですが、2016年9月19日に発表された市川衛氏の記事の抜粋です。
2015年度の国民医療費が発表され、42.3兆円(総額)になると見込まれていることがわかりました。昨年度の税収は、およそ56兆円ということ。1年間の税収と比べても遜色ない額が医療費に使われています。
ちなみに2005年度の国民医療費は、33.1兆円です。10年間で、およそ10兆円も増えたことになります。なんで、こんなに増えたのでしょうか?理由としてまず思いつくのは「高齢化」です。ところが、実は高齢化は「主犯」ではないことがわかります。
厚労省が2016年9月15日に作成した「医療費の伸びの要因分解」では、2015年度に医療費が伸びた要因を分析しています。赤丸を記したところが、医療費の伸びの内訳です。高齢化の影響1.2%、その他(医療の高度化等)2.7%、人口増の影響 -0.1%です。
高齢化以上に原因になっているのは医療の高度化のようです。たとえば、C型肝炎の薬「ハーボニー配合錠」は、発売当時、1錠8万円の値段が付けられました。1人の患者さんを治療するのに、必要な費用は670万円程度に上ります(現在は価格が改定され、1錠5万5千円程度)。必要な患者さんには公費が補助され、月々の自己負担は1~2万円に抑えられます。その差額は、税金や、健康保険料から支払われます。
何気なく使っている「クスリ」の値段は、本当にその価値に見合っているのか?そうした視点が、医療を消費する側の私たちにも、今後求められるようになっていくのかもしれません。
医療医膨張の「主犯」が「医療の高度化」だとすると、医療が進歩すればするほど、医療費の増大で国家財政は悪化することになります。
このような悪循環を断ち切るためには、効果がはっきりしないという理由で、ドネペジル(アリセプト®)のようなアルツハイマー病治療薬を医療保険から外したフランスのような思い切った政策をとることが必要だとおもいます。
風邪に処方される、抗生物質で世界で一番売れているのがフロモックス®(一般名:フカペンピボキシル)で、二番目に売れているのがメイアクト®(一般名:セフジトレン ピボキシル)ですが、ほとんど日本でしか消費されていないのだそうです。風邪に抗生物質を使い過ぎであることは、厚労省も盛んに宣伝しています。岩田健太郎先生も、「日本で出されているこうした抗生物質の99.9%(かそれ以上)は誤用です。」と断言されているので、これらの薬も保健適応から外したらどうでしょうか?
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