武田、7兆円でシャイアー買収へ

武田、7兆円でシャイアー買収へ…過去最高額
以下は、記事の抜粋です。


武田薬品工業は12月5日、臨時株主総会で、アイルランド製薬大手「シャイアー」の買収が株主の賛成多数で承認されたと発表した。シャイアーも5日に臨時株主総会を開く。両社株主の承認を経て、買収手続きは来年1月8日にも完了する見通しとなった。

武田の買収額は総額約7兆円弱で、日本企業の海外企業買収では過去最高額となる。買収後の武田の売上高は3兆円を超え、日本の製薬会社で初めて世界10位以内に入る見込みだ。シャイアーは血液や免疫などの希少疾患や、神経疾患の治療薬とその開発力に強みを持つ。

武田は、買収資金のうち約3兆円を銀行融資や社債発行で調達し、残りの約4兆円を武田の新株発行で賄う計画だ。5日の臨時株主総会では、この新株発行の賛否について採決され、出席株主の議決権のうち、3分の2以上の賛成を得た。


NHKのニュースでの解説などでは、シャイヤーを買収することで、新薬の開発力が倍増するかのように言っていましたが、シャイヤーの3本の柱の中、血液と神経は先細りが予測され、新薬開発ではむしろシャイヤーは武田をあてにしていると思います(記事をみる)。しかも、その武田の研究員も大量にリストラされたばかりです。総会に出席したウェバー社長は「研究開発への投資は年間4千億円を超える水準になり、革新性の高い薬が作れるようになる」と言ったそうですが、年間4千億円では、1兆円を超える海外製薬大手の半分程度です。

以前にも書いたように、先進諸国ではヒトの平均寿命が生物学的限界に近づきつつあり、「新薬の登場よりも、特許切れのペースが速い」状況の中で、「新薬を次々と研究開発して儲ける」という製薬会社のビジネスモデルは、既に過去のものです。海外製薬大手の多くはリスク回避のため、ジェネリック市場に参入すると同時に、研究はベンチャーに、臨床開発はCROにアウトソースし、マーケティングと監督官庁との交渉に特化した「商社」的なものに変化してきました。それでも、上記のように海外大手は、1兆円規模で研究に投資しています。

ウェバー氏はさらに「シャイアーの買収で国際的企業として競争力を持つことができ、医薬品業界でリーダーになれる。武田の長期的戦略を成し遂げるための機会だ」などと言ったそうです。私は、最大の買収効果はアメリカ市場への進出拡大だと思っています。いずれにしても、ウェバー氏の予想通りになるかどうか、今後の展開を見守って行きたいと思います。

関連記事
今後4年間、日本の製薬メーカーではリストラの嵐が吹く見通し

コメント

タイトルとURLをコピーしました