統合失調症、脳の海馬異常が引き金?

7統合失調症、脳の海馬異常が引き金 理研
以下は、記事の抜粋です。


理研の利根川・脳科学総合研究センター長らは、統合失調症の症状が、脳にある海馬の異常が引き金になって起きているとするマウスの実験結果をまとめた。

記憶を整理する仕組みがうまく働かず、「計画が立てられない」といった病的な症状が表れるという。新薬の開発や症状を抑える薬の選択に役立つ成果だ。詳細が10月17日、Neuron(電子版)に掲載される。

海馬は、脳に新しい情報が入ってこない休息中に、記憶を順序立てて整理している。研究チームによると、患者は海馬の働きが異常になり、記憶の整理ができなくなっている可能性が高い。休息中も海馬が激しく動き、妄想や幻覚、考えが止まらないなどの症状を引きおこすと考えている。


こちらにより詳細な記事があります。

この研究では、約10年前同じ利根川グループが作成した前脳特異的にカルシニューリン遺伝子をノックアウトしたマウスを使っています。 このマウスは、シナプス可塑性や行動の異常が統合失調症に似ていると報告されました(論文をみる)。同時に利根川グループは、統合失調症患者群において、カルシニューリン遺伝子や機能的に関連するという遺伝子に変異がみつかったと報告しました(論文をみる)。

マウスで「統合失調症と同じような症状」といわれても簡単には信じませんが、患者で異常が見つかったということで、この話は本当かもしれないと思いました。私はカルシニューリンの研究をやっていましたし、大昔ですが統合失調症の患者さんも診ていたので、じっとしておれず、日本人の統合失調症患者で、利根川グループの追試をする研究に参加させてもらいました。結果は、完全にネガティブでした(論文をみる)。つまり、彼らが報告した遺伝子には異常はありませんでした。

最近は、患者さんのゲノム全体の塩基配列を決定するような研究も数多くありますが、統合失調症でカルシニューリン情報伝達系に異常があるというような報告はほとんどありません。ということで、利根川先生はノーベル賞を受賞したかもしれませんが、カルシニューリンと統合失調症に関する研究については疑っています。

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