アスピリンの1次予防は、メリットより出血リスクのほうが大きい

アスピリンの1次予防は、メリットより出血リスクのほうが大きい
心筋梗塞や脳梗塞の既往がないのに、主治医からこれらの疾患の予防のためと言われてバイアスピリンを投与されている方がおられて、「アレッ?」と思ったことがありました。しかし、どうやら1次予防のメリットは少ないようです。以下は、記事の抜粋です。


被検者数1,000例以上のシステマティックレビューとメタ解析の結果、1次予防薬としてのアスピリンの出血リスクは心血管イベントの発症予防のメリットを上回るというのが本論文の主旨である。アスピリンは脳卒中や虚血性心疾患を有している症例に対する2次予防効果が確認されているが、1次予防効果に対する有効性に関してはいまだ定かではなかった。そもそもは、1989年にPhysicians Heart studyという米国の医師を被検者としてアスピリン325mg隔日服用群とプラセボ群にランダマイズして両群の心筋梗塞発症率を比較したRCTで、アスピリン群のほうが44%もAMIが少なかったという成績がNEJM誌に発表されたことから、一躍アスピリンの心血管イベント抑制効果が注目され始めた。

しかし、その後わが国を含め多くのアスピリンの1次予防に対する有効性を検討した結果が発表されているが、次第に否定的な結果の発表が増えていった。なかでもわが国で行われた2つの大規模なRCTは、いずれも否定的な結果に終わっている。

Physician Heart studyは今から20年前の臨床研究であるが、その後高リスクの症例ではスタチン薬処方が普及するとともに、降圧目標もより厳格となったことで心筋梗塞が起こりにくくなっているという事実がある。かっては心血管イベント1次予防の抑制に有効であったが今や、そのデメリットである大出血リスクのほうが上回るようになったといえよう。治療薬の評価も時代とともに変化するのである。

メタ解析の常として、採用されたトライアルの均質性、たとえばアスピリンの用量、症例のリスク因子のレベルなどは担保されていない点は留意しておく必要がある。


元論文のタイトルは、”Association of Aspirin Use for Primary Prevention With Cardiovascular Events and Bleeding Events…A Systematic Review and Meta-analysis”です(論文をみる)。

上の記事にもあるように、臨床試験の結果が変わってきたのは、スタチンや降圧薬の普及によって心筋梗塞や脳梗塞が発症しにくくなってきた(これらによる予防効果が高い)という状況があるのだと思います。アスピリンには大腸がんの発症抑制という話もありますが、むやみに飲むのは止めた方が良さそうです。

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