「軽いタバコ」が肺腺がんリスクを上げる

歌舞伎俳優の中村獅童さん(44)が初期の肺腺がんであることを発表したことで、肺腺がんが話題になっています(記事をみる)。

nakamura shidou

上の記事では、「タバコを吸わなくても肺線がんになる」ケースが多いと書かれていますが、別の記事では、煙の中のニコチンやタールの含有量が少ない、いわゆる「軽いたばこ」が、肺腺がんの要因になっていたとされる論文が紹介されています(記事をみる)。

元論文のタイトルは、”Cigarette Filter Ventilation and its Relationship to Increasing Rates of Lung Adenocarcinoma”です(論文をみる)。

フィルター付きのタバコは1960年代から登場し、今では紙巻きタバコの主流になっています。

記事には論文著者のコメントとして、「フィルターの穴により、たばこの燃え方が変わり、より多くの発がん性物質を生み出します。さらに、肺腺がんが多く発生する肺の奥の方まで、たばこの煙が到達することにもなるのです」と書かれています。

論文の要約には以下のように書かれています。


Filter ventilation 1) alters tobacco combustion, increasing smoke toxicants; 2) allows for elasticity of use so that smokers inhale more smoke to maintain their nicotine intake; and 3) causes a false perception of lower health risk from “lighter” smoke. …… Altered puffing and inhalation may make smoke available to lung cells prone to adenocarcinomas. The analysis strongly suggests that filter ventilation has contributed to the rise in lung adenocarcinomas among smokers. Thus, the FDA should consider regulating its use, up to and including a ban.


記事に書かれている以外に、2)より多くのニコチンを摂取するためにより多くの煙を吸い込むことになる、3)「より軽い」タバコなので喫煙者が健康リスクがより少ないと誤解する、と書かれています。さらに、これらの結果からフィルター付きタバコは喫煙者の肺腺がんリスクを増やすことが明らかなので、FDA(米国食品医薬品局)は禁止も含めた規制を考えるべきであると結んでいます。

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