以下は、記事の抜粋です。
日本の基礎研究が国際的に最高水準にあることが、改めて示された。授賞理由は、「自食作用(オートファジー)」の仕組みの発見だ。
脳などの神経細胞が、長期間安定して機能するのは自食作用のおかげだ。心臓の細胞が、止まることなく動き続けるのも、この働きによる。神経細胞に異常が起きるパーキンソン病の発症にも、自食作用が関係するとみられている。がん細胞は、自食作用を“悪用”して増殖するとされる。
自食作用は20世紀半ばから、動物細胞で観察されていたが、解明に挑む研究者は少なかった。大隅氏は「人がやらないことをやる」と、研究に打ち込んできた。独自の視点で探究し、真理を突き止める。この姿勢が、科学者の原点であろう。
2000年以降、日本人のノーベル賞受賞が相次いでいる。政府が過去に、基礎科学を地道に支援したことが、10年、20年を経て結実したと言えよう。
大隅氏は記者会見で、「基礎研究を見守ってくれる社会になってほしい」と語り、「基礎的な研究者も(ノーベル賞の)機会に恵まれる、と若い人が知ってくれたら、うれしい」と訴えた。
大隅先生が自食作用の研究を始められた頃は、多くの大学の研究室にはどんな研究にも使える研究費が国や大学から支給されていました。
ところが、今では、そのような無条件でどんな研究にも使える研究費はほとんど無くなりました。研究費を得るためには、その研究が終了した時点でどんな成果が得られるか、どんな社会貢献があるかなどを書いた申請書を提出して、それが高く評価される必要があります。中には、研究成果がどのように社会貢献するかの「ロードマップ」を書かせるような場合もあります。
「選択と集中」の掛け声の中で再生医療やAIという「成果が良く見えるようにみえる」ものに研究費が集中している現在の日本の研究環境では、元記事の最後に書かれている「後に続く研究者が、独創的な分野に専念できる環境を、より充実させたい。」という希望がかなう可能性は低いと思います。
今回のノーベル賞受賞がこのような環境を大きく変えてくれることを祈ります。
コメント
SECRET: 0
PASS:
基礎研究…
日本人と日本国には難しい相性なのですかぬ。
八木アンテナといい。
世界史に先駆けた日本生まれのヒコーキといい。