米脂質異常症ガイドライン改訂

NEWS◎米国心臓病学会と米国心臓協会が3月13日に発表…米脂質異常症ガイドライン改訂、治療目標値復活…一次予防の糖尿病患者でも高リスク状態ならLDL-C70未満を推奨
自分用のメモです。以下は、記事の抜粋です。


米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)の合同委員会が、関係する学会と共にまとめた「脂質異常症の管理に関するガイドライン2026年版」が、3月13日に公開された。8年ぶりの改訂となる。

2026年版ではLDLコレステロール(LDL-C)の治療目標値が復活したほか、10~30年間における動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の発症リスクを推計する計算式を変更し、一次予防の糖尿病患者でも高リスク状態ならLDL-Cは70mg/dL未満を推奨するなど、多くの変更がなされた。

10~30年間のASCVDリスク計算式を変更
まず、ASCVDを発症していない一次予防例に対する治療のアルゴリズムを紹介する。30~79歳で治療前のLDL-Cが70~189mg/dLである場合、今後10年間のASCVDの発症リスクを、PREVENT-ASCVD計算式から算出する。同式では、年齢、性別、血圧、総コレステロール、HDLコレステロール(HDL-C)、糖尿病の有無、喫煙状況、eGFR、スタチンおよび降圧薬服用の有無から、長期の累積発症リスクを推計する。

各リスクカテゴリーの境界値も変わる
この計算式で求めた10年間のASCVDリスクに基づき、3%未満を「低リスク」、3%以上5%未満を「ボーダーラインリスク」、5%以上10%未満を「中等度リスク」、10%以上を「高リスク」に分類する。

10年間の発症リスクが3%未満である「低リスク」の場合は生活習慣の改善がクラス1の推奨となるが、LDL-Cが160mg/dL以上(~189mg/dL)または30年間のASCVDリスク(これもPREVENT-ASCVD計算式で算出)が10%以上であれば、中強度のスタチン療法を開始して、目標は治療前LDL-C値から30%以上の低下またはLDL-C 100mg/dL未満とした(推奨クラス2a)。なお、目標値はnon-HDLコレステロールでも設定されているが、複雑になるため本稿では割愛した。

10%以上の「高リスク」の場合も直ちに高強度のスタチン療法を開始し(推奨クラス1)、目標は治療前LDL-C値から50%以上の低下またはLDL-C 70mg/dL未満とする(推奨クラス2a)。目標に達しない場合はエゼチミブを追加し(推奨クラス2a)、それでも不達成の場合は、抗PCSK9抗体またはベムペド酸を加えた3剤併用療法を考慮する(推奨クラス2b)。

一次予防の糖尿病患者でも高リスク状態ならLDL-C<70を推奨
2026年版では、一次予防の糖尿病患者を対象としたアルゴリズムの図が新設された。まず、糖尿病患者を年齢によって20~39歳、40~75歳、75歳超の3カテゴリーに分ける。

40~75歳では全例に中強度のスタチン療法を開始し、目標は治療前LDL-C値から30~49%の低下またはLDL-C 100mg/dL未満とする(推奨クラス1)。だが、10年間リスクが10%以上または心血管リスク因子が複数ある患者では治療が強化され、高強度スタチン療法により治療前LDL-C値から50%以上の低下またはLDL-C 70mg/dL未満が目標となる(推奨クラス2a)。治療目標(LDL-C 70mg/dL未満)未達成なら、エゼチミブまたは抗PCSK9抗体の併用を考慮する(推奨クラス2b)。

75歳超は、リスクと利益のバランスをよく患者と話し合い(推奨クラス1)、中強度のスタチン療法を考慮するとした(推奨クラス2b)。

二次予防ではエゼチミブと抗PCSK9抗体を同列で推奨
ASCVDの既往がある二次予防例に対しては、「超高リスク状態」(At Very High Risk)と「それ以外」に分類。「超高リスク状態」とは、(1)12カ月以内の急性冠症候群の既往、(2)心筋梗塞の既往、(3)脳梗塞の既往、(4)症候性末梢動脈疾患──の中で複数の疾患がある場合、または1疾患と複数の心血管リスク因子がある場合とした。

うした「超高リスク状態」にある患者に対しては、高強度または最大忍容量のスタチン療法を開始し、目標は治療前LDL-C値から50%以上の低下またはLDL-C 55mg/dL未満とした(推奨クラス1)。目標不達成の場合は、エゼチミブまたは抗PCSK9抗体を併用する(推奨クラス1)。抗PCSK9抗体に忍容性がないなどの場合はインクリシランに変更、それでも目標不達成の場合はベムペド酸を追加するとした(どちらも推奨クラス2a)。

なお、抗PCSK9抗体については安全性に関するエビデンスが増え、発売当初よりも安価になったことから、スタチンの併用薬としてエゼチミブと抗PCSK9抗体は同列に扱われており、エゼチミブ投与前の抗PCSK9抗体の投与も許容した。


高LDLコレステロール(LDL-C)血症はまったく自覚症状がなく、高血圧と比べて会社の定期健診などでの治療勧告の閾値が高いなどの理由で、治療せずに放置されている例が多いように思います。ところが、このブログでも再三取り上げているように、予防可能な認知症リスクとして、高LDL血症は7%で高血圧や高尿病はどちらも2%でです。つまり、ガイドラインが警告している動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)だけではなく、認知症になるリスクも考える必要があります。

一次予防の糖尿病患者でも高リスク状態ならLDL-Cは70mg/dL未満を推奨するなど、とても参考になりました。

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