脂肪肝とγ-GTPとALT(GPT)

酒を飲まない人も危険な「脂肪肝」、放置すればがんや脳梗塞のリスク、記者が「痛くない」最新技術の検査受けてみた
対話形式の長い記事なので、以下に要点だけを抜粋します。


肝臓が声にならぬSOSを出している状態のひとつが〈脂肪肝〉である。健康診断で指摘されたことのある読者も多いだろう。腹囲と体重の計測、血液検査で受診を勧められても「最近、飲み過ぎ/食べ過ぎただけ」と、放置することはおすすめできない。

脂肪肝であれば、肝硬変や肝臓がんに進行するだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞といった脳心血管系の病気のリスクも大きくなります。

2024年8月に脂肪肝に関する病態の新しい名称と分類を日本消化器病学会と日本肝臓学会が合同で発表しました。

脂肪肝をSLD (Steatotic Liver Disease:脂肪性肝疾患)とし、その中でお酒の過剰摂取によるものはALD (Alcohol Associated Liver Disease:アルコール関連肝疾患)、お酒をほとんど飲まない人の脂肪肝はMASLD (Metabolic Dysfunction Associated Steatotic Liver Disease:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)/MASH(Metabolic Dysfunction Associated Steatohepatitis:代謝機能障害関連脂肪肝炎)と定義することになりました。

男性は40代から60代の方が脂肪肝になりやすく、女性は閉経期以降に急激に増えるという特徴があります。

AST(GOT)とALT(GPT)はどちらも酵素で、ALTは肝臓の細胞のみに含まれています。ALTが正常より多く血液中にあるということは、肝臓細胞が壊れてALTが漏れ出しているサインなのです。

肝臓はもともと余分な脂を自分の中に閉じ込めて、悪さをしないようにする機能を持っています。しかし、限界を超える脂が溜まると細胞が壊れ始め、そこからALTが漏れてくるので「壊れた肝細胞がある、肝臓に障害が起きている」という指標になるのです。この状態になると炎症を起こしており、線維化が進行しやすいと考えられます。

ASTは肝臓以外にも心筋や骨格筋などの筋肉や血球にも含まれるので心臓や筋肉の病気の可能性があります。γ-GTPは胆汁の流れが妨げられると血液中に増加するので、滞りがある状態だと考えられます。γ-GTPが高値だと心筋梗塞のリスクが上昇するというデータもありますから、どの酵素でも異常値があれば注意が必要です。

脂肪肝とは臓器を構成する細胞の一つひとつに脂肪滴が溜まっていくことです。肝臓の中と周囲の細胞に脂肪滴が溜まって、増えすぎた状態が脂肪肝なのですね。柔らかくて美味しいフォアグラは単純性脂肪肝で、珍味としてはこの状態をキープしますが、生物としては深刻な状態になる手前です。

MASLDは肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの代謝異常を背景に肝臓に脂肪がたまる病気なので、肝臓だけの病気では済みません。さらに乳がんや大腸がんといった他の臓器のがんを合併する場合もあるので、脂肪肝は全身性の疾患として認識したほうがいいと考えられるようになってきました。

2023年に日本肝臓学会からALT値が30以上の方は、一度お近くの内科やかかりつけ医を受診してほしいという「ALT over 30:奈良宣言」を出し、半年間で改善が見られなければ、積極的に治療することを推奨しています。

食事や運動療法がベースになります。「やっぱりそれか」と思われるでしょうが、管理栄養士や健康運動指導士、理学療法士といった専門家のサポートを受けながら取り組んでいただくことが大事です。

遺伝的な要因や体質によって、どんなに運動しても、アルコールや糖分を制限しても改善できない方もおられます。その場合は、投薬治療もおこないます。最近は薬の種類も増え、一人ひとりの状態に応じてきめ細やかに対応できるようになりました。

脂肪肝を放置すれば、生命予後に大きく関わります。自己免疫性疾患やウイルス性肝炎などの病気が隠れていることもあります。

実際に線維化の進行を判別するのは難しいものなんです。エコー(超音波検査)では脂肪肝は白く光って見えています。線維化が肝硬変まで進むと肝臓の縁がデコボコしてくるのがわかるのですが、その中間がわかりにくいのです。

肝臓の状態を把握するためには、肝臓に針を刺して組織の一部を採取して調べる肝生検が最も信頼できる検査です。ただ、局所麻酔を使うとはいえ痛みを伴いますし、出血や周辺臓器を傷つけるリスクがあります。たいてい1泊2日の入院でおこなうので、費用もかかります。

そこで、できるだけ身体を傷つけない検査として、生体組織の硬さを定量的に測定できるMRエラストグラフィ(MRE)という最新技術が登場しました。MRエラストグラフィは、精度が高く身体に傷を付けることもありません。ただ、MRエラストグラフィを導入しているのは全国で100施設に満たないのが現状です。

暴飲暴食、特にお酒を控えましょうとお伝えしたいですね。アルコールは肝臓にかなりの負担をかけます。肝臓は、普通の生活をしていれば本当に再生能力の強い臓器ですが、負担をかけ過ぎるとどんどん壊れて過労死に至ります。ご自分が肝臓に長時間労働や、劣悪な労働環境を強いるブラック企業みたいになっていないでしょうか。どうかご自身も、そして肝臓もよく労って大切にしてください。


アルコールを摂取すると、肝臓は解毒のためにγ-GTPの合成を促す「誘導」が起こります。γ-GTPは細胞膜を1回貫通する膜タンパク質として存在していますが、飲酒の影響で胆汁の流れが滞ると、胆汁酸が持つ洗剤のような「界面活性作用」によって、膜から剥がれ落ちて血液中へ溶け出します。このように、細胞が死んで壊れる前の「刺激」や「過負荷」の段階で早期に放出されるため、飲酒量に敏感な指標となるのです。

γ-GTPは胆管上皮細胞などの「管腔側(胆汁の通り道)」の膜に突き出した膜タンパク質です。飲酒刺激で合成が促されるほか、胆汁酸の界面活性作用により、細胞が壊れる前の刺激段階で容易に血中へ溶け出します。対してALTは細胞質(中身)に存在し、細胞死を伴わないと上昇しないため、局在の差が数値の乖離を生みます。
γ-GTPとALT(GPT)の両方が上がるような脂肪肝はかなり重症です。気を付けてください。

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