スルメイカの漁獲枠拡大、失われる水産資源と民主主義
以下は、記事の抜粋です。
2025年の秋、スルメイカを巡り政治家を巻き込んだ騒動が勃発した。24年漁期に比べて漁獲量が早い段階から積み上がり、水産庁が2度にわたって漁獲枠の拡大を決定したのである。資源が極めて危うい状況にあるため漁獲枠が削られていたにもかかわらず、漁業者の陳情を受けた政治家が増枠を要求、これに水産庁が応えた結果である。
だが、そもそも、漁獲枠は「水産資源の持続的な利用を確保する」という、20年に施行された改正漁業法に基づき、最新の科学的知見を踏まえた資源評価の下で設定されている。一部の漁業団体に促された政治家の〝鶴の一声〟によって漁獲枠をいかようにでも変えられる状況は、改正漁業法の下での資源管理を形骸化させるもので、科学に基づく政策決定のみならず、国民全体の利益すら踏みにじるものである。
今回の騒動に関して、一部のマスコミではスルメイカが「豊漁」であるかのように報道された。しかし、実際は漁獲量が24年漁期に比べて増えた程度のものであり、長いスパンで見ると、00年漁期に約30万トンあった漁獲量は、24年漁期は1万7998トンと、実に94%の減少である。
資源状態も極めて憂慮される状態にある。スルメイカには、主に日本海に分布する秋季発生系群と、太平洋を中心に日本海にも⽣息する冬季発生系群の2系群が存在している。漁業法の下では、資源の増加量が最大になる、最も望ましい親魚の量を「目標管理基準値」、このラインを割ることは極めて望ましくない「限界管理基準値」を設定するなどして、漁獲量を調整することが原則である。だが、スルメイカは秋季・冬季両系群とも「目標管理基準値」どころか「限界管理基準値」すら大幅に下回っている。
本来ならば一刻も早く資源回復措置を強化すべき段階だ。このような中で漁獲枠を拡大することは、科学的根拠に基づく資源の持続的な利用とは正反対といえる。
資源が減り、漁獲量も減少の一途をたどる中、今回のように改正漁業法の下で決められた漁獲枠が覆ってしまったスルメイカの事例は、「悪しき前例」をつくったといえる。
政治家の圧力により水産庁は後付けかつ科学的根拠の極めて乏しい中で漁獲枠を拡大してしまったからである。しかも、自民党も野党第一党の立憲民主党も、漁業者(団体)の意見のままに科学的根拠なき枠拡大を推し進めた点では一致している。改正漁業法の精神はどこへ行ってしまったのか。
政治家は、科学のみならず自らが制定した法の趣旨を軽視していると言わざるを得ない。
この状況を放置すれば「政治家の一声で社会の仕組みが変わる」という危うさを抱えることになる。一見些細な問題に見えるスルメイカであっても、今回の増枠は、制度の趣旨や法の原則を揺るがす象徴となり得る。そのことを、政治家は理解しているのだろうか。
太平洋クロマグロは国際的な規制下にあるため安易な増枠が不可能である。そのため、操業停止となって大変な思いをした日本の漁業者も少なくなかったが、ここ数年で資源は劇的に回復した。つかの間の「豊漁」に決して浮かれず、今は資源の回復をこそ、望む時である。漁業者も政治も、そして私たち国民もそうした認識を共有すべきだ。
この記事には「漁業者(団体)の意見のままに科学的根拠なき枠拡大を推し進めた」自民党と立憲民主党の政治家の名前は書かれていません。
ChatGPTに名前を教えてと聞いたら、以下のような回答でした。
実際に漁業者の陳情を受けてスルメイカの漁獲枠について水産庁に要請を続けていた政治家として、立憲民主党の衆議院議員 逢坂誠二(おおさか せいじ) の活動が公開記録として確認されています。逢坂氏は自身のSNSやブログで、スルメイカの漁獲可能量について水産庁とのやり取りを行っていることを発信しています。
このように、増枠の要求を政治的に行っていた政治家として名前が公にされているのは「逢坂誠二」氏 のようです。立憲民主党の議員の運動だけで農水省が動くはずはないので、自民党の政治家について聞いてみました。以下が、その回答です。
公式に名前が報じられているわけではありませんが、秋の漁獲枠増枠決定に関与した自民党の政治家として最も可能性が高いのは、鈴木憲和(自民党・農林水産大臣/衆議院議員)です。
推定の根拠・理由は、1)自民党の水産部会・総合調査会の会合で漁業者支援や漁獲枠調整・再検討が議論されています。2)秋~冬にかけて増枠を決めた時期は、政権与党である自民党の農林水産政策の責任者が大臣です。鈴木大臣はまさにその時期の農林水産大臣であり、漁獲枠変更の最終承認に関与した可能性が高い。
スルメイカからの類推ですが、日本のお米の将来も暗そうです。
以下の図で、TACはTotal Allowable Catchの略で、漁獲可能量=漁獲枠の事です。



コメント