10年ぶりに改訂された骨粗鬆症ガイドライン

10年ぶりに改訂された骨粗鬆症ガイドラインの狙いは
「ビスホスホネートはやめられる」改訂GLに見る骨粗鬆症の治療トレンド
以下は2つの記事の抜粋です。


治療ゴールの達成には、患者の状態やリスクに応じた適切な薬剤選択が不可欠だが、その具体的な指針としてガイドラインで紹介しているのが、米国骨代謝学会(ASBMR)と米国骨粗鬆症財団(NOF)が2024年に発表した「治療アルゴリズム」だ(下図)。このアルゴリズムでは、患者の骨折リスクを骨折の既往や骨折部位、Tスコアに基づいて分類し、リスクの高い患者には、骨密度の大幅な改善が期待される骨形成促進薬を第一選択薬として投与することを推奨している(アナボリック・ファースト)。

骨形成促進薬を先行して投与し、その後に骨吸収抑制薬としてビスホスホネート製剤や抗RANKL抗体のデノスマブを使用する「逐次療法」は、骨密度上昇効果と骨折予防の維持効果を最大化させることが知られており、骨粗鬆症患者に対する理想的な治療計画とされている。

しかし、骨形成促進薬は、本来は第一選択で用いるべきシーンが多いにもかかわらず、非専門医による処方がまだまだ少ないのが現状だ。非専門医であっても骨折リスクの高い患者には早期から骨形成促進薬を用いた治療を検討してほしい。また、アルゴリズムにあるTスコアを算出するには、基本的に二重X線吸収装置(DXA)で腰椎と大腿骨近位部を測定することが望ましい。

ガイドラインでは、目標である「Tスコア-2.5SD」を達成すれば、ビスホスホネートの休薬が可能としている。『骨粗鬆症は、治療を頑張れば休薬が可能だ』と患者に知っておいてもらうことは、モチベーション維持に有効だ。ただし、休薬できるのはビスホスホネートのみとされている。


Tスコア -2.5 SDと 骨密度YAM 70%は ほぼ同じです。YAMとは、骨密度検査で使用される「Young Adult Mean(若年成人平均値)」の略です。これは、健康な20歳から44歳までの同性(男女別)の平均骨密度を100%とした場合、自分の現在の骨密度がその何%にあたるかを示す数値で、骨密度の評価指標として骨粗鬆症の診断にも用いられます。一般的にYAM値が70%未満で骨粗鬆症、70%以上80%未満で骨量減少、80%以上で正常範囲と診断されます。

骨形成促進薬とは、骨粗鬆症の治療などで骨の形成を促す薬剤の総称です。主なものに、テリパラチド(フォルテオⓇ、テリボンⓇなど)と、ロモソズマブ(イベニティⓇ)があります。

テリパラチドは、副甲状腺ホルモン(PTH)のヒトのN末端側1-34ペプチド断片であり、間欠的に投与されることで骨芽細胞の増殖・分化を促進し、アポトーシスを抑制することで骨形成を誘導します。ロモソズマブは抗スクレロスチン抗体であり、スクレロスチンに結合してその作用を阻害することで、骨形成の促進と骨吸収の抑制を同時に引き起こし、骨量を増加させます。どちらも3割負担の場合、1ヶ月あたり約1.5万円が目安です。

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