クマスプレー「誤使用」に警鐘 「テントに塗布」はむしろ逆効果 クマは興味津々、近寄るケースも
「下手の考え休むに似たり」よりももっとダメな話です。以下は、記事の抜粋です。
クマによる人身事故の増加から、クマを撃退する「クマスプレー」を所持する登山者が増えている。だが、使い方を誤ると、かえって危険を招きかねないという。
クマを撃退する「クマスプレー」。ヒグマを見かけて、20~30メートルまで近づいたところで、警告の意味で噴射した。そんな人もいる。だが、その使い方は完全に「間違っており、むしろ危険」だという。
ヒグマ学習センター代表の前田菜穂子さんによると、現場に残留したクマスプレーの刺激臭が、「クマの興味をひいた可能性がある」と言う。クマはにおいに対して好奇心が強い動物だからだ。
「クマは知らないにおいをかぐと、それが何であるか、確かめにやってくる習性があります。そのにおいが強烈であるほど、引きつけられるのです」(前田さん)
前田さんによると、世の中に流布するクマに関する言説には、実態とかけ離れたものもあるという。たとえば、たばこ(ニコチン)、ヘビ、オオカミの糞や尿などは、クマが嫌がるにおいを発するといわれてきたが、どれもクマを近づけない効果は確認されていない。
前田さんが特に懸念するのは、トウガラシ成分(カプサイシン)を用いた「忌避剤」と称する商品がいくつも出回っていることだ。「カプサイシンの強力な刺激臭でクマを寄せ付けません」などと記されている商品もある。
クマスプレーで霧状に噴射されたカプサイシンは、目や鼻、のどの粘膜、皮膚に付着して感覚神経に作用し、強烈な痛みを感じさせてクマを追い払う。だが、カプサイシンの刺激臭自体にクマ忌避剤としての効果は、「ない」のだという。
米国とカナダの研究者は、1985年から2006年にかけてクマスプレーをヒグマとクロクマに対して使用した事例81件を検証した。そのうち、11件は誤用例で、クマから守りたい対象物にスプレーを散布していた。この11件はクマを遠ざけるのにすべて失敗したという。うち2件は散布によって、むしろクマが強く引き寄せられたと報告されている。
キャンパーらにこう警告する。「テントなどに、クマを寄せつけないためにクマスプレーをあらかじめ吹きかけておくのは逆効果。刺激臭に興味を持って、かえって近づいてくる」
日本ツキノワグマ研究所の米田一彦代表も「においでクマを追い払う実験はこれまで多く行われてきましたが、すべて失敗に終わっています。したがって、においでクマを追い払うという触れ込みで、科学的根拠のある商品はないと考えています」と話す。
クマスプレーを誤って使えば、臭気でクマを呼び寄せてしまうことすらある。また、臭気でクマを追い払うという触れ込みのクマ忌避剤は、かえってクマを引き寄せてしまう恐れすらあることも知っておきたい。
「忌避剤」という言葉が誤解を生むと思います。「クマスプレーで霧状に噴射されたカプサイシンは、目や鼻、のどの粘膜、皮膚に付着して感覚神経に作用し、強烈な痛みを感じさせてクマを追い払う。」ことを理解して使いましょう。もちろん、ヒトに向かって使わないようにしましょう(記事をみる)。



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