オスのフェロモンは、どこから出ているのか 研究者が探し続けて見つけた、驚きの場所とは?
以下は、記事の抜粋です。
フェロモンはどこから?
マウスの鼻の中には、フェロモンを検知する「鋤鼻(じょび)器」という器官があり、メスをオスのケージに入れて触れ合わせると、メスの鋤鼻器が反応します。
「つまりメスはオスから確かにシグナルを受け取っているのですが、それがどのような物質で、オスのどこから分泌されているかがわからなかったんですね。『まずはそれを見つけ出そう』というのが、私たちの研究チームが最初に取り組んだプロジェクトテーマでした」
東原教授が真っ先に目をつけたのは、尿でした。オスはマーキング(縄張りを示すために尿をかける行動)をするので、「尿とともにフェロモンが放出されているのではないか」と推測し、尿を調べてみたものの、注目していた反応はありません。唾液腺など体じゅうの分泌腺を一つひとつしらみつぶしに探していきましたが、見つけることはできませんでした。
ある時、マウスの顔周りを観察していた学生が、目尻の横に白い脂のようなものがついているのに気づきます。これを取って調べてみると鋤鼻器の反応が見られました。反応を引き起こす物質は水溶性たんぱく質で、フェロモンの活性があることが判明。探していたフェロモンは涙腺から出ていることが明らかになりました。
「ESP1」と名づけられたこのフェロモンはオスにしか分泌できないこと、メスはオスの涙に触れることでESP1を受け取り、ロードシスと呼ばれる「交尾を受け入れる姿勢」を取ることも突き止めました。
あらかじめESP1に触れさせたメスは、オスが交尾を仕掛けると2回に1回は受け入れますが、ESP1に触れさせなかったメスは、ほとんど拒否して10回に1回くらいしか受け入れません。
元論文のタイトルは、”The male mouse pheromone ESP1 enhances female sexual receptive behaviour through a specific vomeronasal receptor(マウスの雄性フェロモンESP1は、特異的な鋤鼻受容体を介して雌の性受容行動を増強する)”です(論文をみる)。
このフェロモンはオスを攻撃的にするそうです(記事をみる)。ヒトにも似たようなフェロモンはあるのでしょうか??
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