LDLコレステロールが「抗体医薬」で半減、ドイツの研究グループが報告
以下は、記事の抜粋です。
脂質異常症の治療に使われる薬としては、スタチンがよく知られている。コレステロールが作られるのを妨げて、LDLコレステロールを下げるという薬となる。
今回、検証された薬は、「PCSK9(前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシンタイプ9)」と呼ばれる細胞が持っているタンパク質PCSK9を邪魔する抗体。PCSK9を邪魔すると血液中のLDLコレステロールが減ってくれる仕組みとなっている。研究グループは、高コレステロール血症の大人を対象として、PCSK9抗体の有効性と安全性を検証した。
データは「MEDLINE」「PubMed Central」「Google Scholar」などで2015年4月4日分までを調べている。高コレステロール血症の大人がPCSK9抗体を用いた場合と用いなかった場合を比べた、フェース2とフェーズ3の試験の結果を総合的に分析した。
その結果、24の臨床試験で効果を確認しており、その恩恵を受けたのは1万159人に上った。抗体を使っていない場合と比べて、使っていた場合はLDLコレステロールが平均47.5%下がっていた。心筋梗塞率も、PSCK9抗体を使っていた場合は明らかに下がり、危険度は51%減少となった。幸い副作用は増えなかった。これからの治療として注目されるかもしれない。
元論文のタイトルは、”Effects of Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin Type 9 Antibodies in Adults With Hypercholesterolemia: A Systematic Review and Meta-analysis”です(論文をみる)。
PCSK9はLDL受容体の分解を促進します(下図)。PCSK9 の機能を阻害することでLDL受容体の分解が抑制され、血中のLDLコレステロールは効率よく細胞内に取り込まれると考えられています。
PCSK9抗体は、有効で安全であるという結果がメタ解析でも得られたようです。ただ、何度も書いていますが、月に一度注射をする必要のある高価な抗体薬がスタチンに置き換わるとは思えません。スタチンが効かないごく一部の患者さんに使われるだけだと思います。
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