【新薬】ボノプラザン(タケキャブ®):作用発現が速い新機序のPPI
以下は、記事の抜粋です。
2014年12月26日、プロトンポンプインヒビター(PPI)ボノプラザン(タケキャブ®)が承認された。適応は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍など従来のPPIと同様の胃酸関連疾患。
PPIは、胃粘膜壁細胞の酵素H+,K+-ATPaseを阻害し、胃酸分泌を抑制する薬剤である。臨床現場で20年以上の使用実績があり、逆流性食道炎などの胃食道逆流症をはじめとする各種消化器疾患の第一選択薬となっている。
しかし近年、PPIの使用頻度が年々多くなるにつれ、(1)酸による活性化が必要なため効果発現に数日間の服用が必要、(2)肝薬物代謝酵素CYP2C19による代謝の影響があり、投与患者により血中動態および作用に大きな差異が認められる、(3)夜間の酸逆流を抑制するには作用時間が不十分――などの問題が生じてきた。
今回承認されたボノプラザンは、従来のPPIと、異なる作用機序でプロトンポンプを抑制する新しいPPIである。具体的には、酸による活性化を必要とせず、カリウムイオンに競合する形でH+,K+-ATPaseを可逆的に阻害し、酸分泌抑制作用を発揮する、カリウムイオン競合型アシッドブロッカーに分類される。
既存のPPIに比べて酸に安定で水溶性に優れており、酸による活性化を必要としないため作用発現が速やかで、かつ遺伝子多型のある酵素で代謝されないことなどが特徴となっている。全ての胃酸関連疾患において、ランソプラゾールに対する非劣性と安全性が各種臨床試験で確認された。
8.2~20.4%に副作用(臨床検査値異常を含む)が臨床試験で認められている。主な副作用は便秘、下痢、発疹、AST上昇、ALT上昇など。重大な副作用として、ヘリコバクター・ピロリ除菌時に併用するアモキシシリン(商品名サワシリン、パセトシン他)、クラリスロマイシン(商品名クラリシッド、クラリス他)では偽膜性大腸炎などの血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので注意する。
これまでのオメプラゾール(オメプラール®)やランソプラゾール(タケプロン®)は、H+と反応してS-S-活性体となり、H+,K+-ATPaseのSH基と結合して不可逆的に阻害します。
臨床的には、ボノプラザン(タケキャブ®)の方が速くかつ長く効果があるということのようです。
新薬は発売後1年間は2週間分しか処方できないので、逆流性食道炎などには処方しにくいですが、ピロリの除菌には結構使われる可能性があると思います。ただ、未知の副作用の可能性を考えると、従来のH2ブロッカーやPPIが効かない時に使うのが無難だと思います。
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