たばこを吸うとアルコール依存になりやすい
以下は、記事の抜粋です。
スクリプス研究所のオリバー・ジョージ氏らの研究グループによると、たばこを吸う人は、吸わない人に比べて、アルコール依存症になるリスクが5倍から10倍高い。
いったいなぜだろうか。研究グループはニコチンが飲酒に及ぼす影響をネズミで検証した。ネズミは2つのグループに分けて、最初にどちらのグループにもアルコールを与える。人間でビール1、2杯分に相当する量を飲んだネズミには、酔った様子を見せる前に与えるのを止める。その上で、片方のグループにはアルコールの蒸気に触れさせ、もう片方のグループにはニコチンとアルコール蒸気の両方に触れるような環境に置いた。
すると、ニコチンに触れないグループでは、アルコール依存になるまでに2カ月だったのに対して、ニコチンに触れたグループではアルコール依存になるまでに3週間と半分以下に縮まった。アルコールを自由に飲めるようにすると、アルコール依存になると、ビール6本に相当する量を勝手に飲む。
さらに、ネズミが断酒できるかを調べるため、アルコールと一緒にキニーネという苦い物質を与えた。ほとんどのマウスは苦味を嫌がるのに対して、ニコチンに触れていたグループではアルコールを飲み続けた。人間のアルコール依存と似る状態と考えられた。
元論文のタイトルは、”Chronic Nicotine Activates Stress/Reward-Related Brain Regions and Facilitates the Transition to Compulsive Alcohol Drinking”です(論文をみる)。
以前、英政府の薬物に関する独立科学委員会(ISCD)は、The Lancet誌に、社会的な影響も考慮すればアルコールはヘロインやクラック・コカインなどの違法薬物よりも危険だとする研究結果を発表しました(論文をみる)。
この論文によると人体への有害性はヘロイン、クラック・コカイン、メタンフェタミンが最も高かったけれども、医療制度に及ぼす影響などの広範な社会的影響を考慮した場合は、アルコールが最も危険で、ヘロインやクラック・コカインがあとに続き、100を最高とした危険度は、アルコールが72で、ヘロインが55、クラック・コカインが54だと結論しています。
日本の社会は、タバコにもアルコールにも寛大過ぎるような気がします。
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