ロバート・ゲラー博士(専門は地震学。東大名誉教授)は、「地震予知」そのものを否定し、「地震調査研究推進本部に所属する研究者は全員御用学者だ」と言っているらしい。

南海トラフ大地震の空騒ぎ、来なかったからいいじゃないか、でいいのか?
以下は、記事の抜粋です。


8月8日16時43分に、宮崎県の日向灘を震源域とする地震が発生した。気象庁は19時15分頃、急遽「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の臨時会合を開き、事々しく、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。

この「注意」を、NHKは当然のごとく、民放も全局、通常番組をやめて、明日にでも南海トラフ巨大地震が来るかのように報じたのである。

南海トラフ地震とは、静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘までの東西というか南北500kmにわたる巨大震源域で、マグニチュード8~9級の地震が、今後「30年以内」に「70~80%」の確率で発生するとされる地震のことである。死者・行方不明者は、「32万人」と推定されている。

「注意」発令にあたって、南海トラフ地震評価検討会の平田直会長は、「今後マグニチュード9に近いような大きな地震が起きる可能性が高い。マグニチュード7クラスの地震が起きると普段よりも数倍起きる可能性は高くなる」と危機感を煽った。

NHKは、パリ五輪や甲子園を横目で見ながら、「南海トラフ『巨大地震注意』」のテロップを丸々5日間出しつづけた。岸田首相は中央アジアとモンゴルへの外遊を中止した。

想定震源域沿岸の九州や四国や近畿の自治体は、防災関係、危機管理関係の職員などが緊急招集をうけ、備蓄や避難経路の確認や市民への注意の呼びかけなど、対応に追われた。新幹線だけでなく、在来線も影響を受け、減速運転や運休をした。高速自動車道の一部は通行止めになった。飛行機も運休した。想定震源域沿岸の宿泊施設では多くのキャンセルがあった。

そもそも、今後「30年以内」に「70~80%」の確率で発生するとされる「南海トラフ大地震」の想定に、すべての地震学者たちが賛成しているわけではない。

これが検討された2013年当時、政府の地震調査研究推進本部の地震調査委員会海溝型分科会の委員たちは、この数字に「科学的に疑義がある」と指摘し、「70~80%(13年当時は60~70%)の確率を、全国の他の地震と同じ基準で算出した20%程度に引き下げるか、二つの確率を同列で扱って示す両論併記にするかなどの提案をした」。しかしそういう地震学者たちの声は、行政担当者や防災専門家の意見によってかき消されたという。

元々、事は「地震予知」という不確実なものだ。発生の「可能性」や、その場合の「責任」を問われると、疑義を持った人間はなにもいえなくなる。結局、組織の上だけで決められた根拠のない数字がひとり歩きをするようになる。

「お上」と「専門家さま」に従順なメディアは、それを既定のものとして受け取る。素人には不安がそのまま残り、その不安によって右往左往するだけになる。

ロバート・ゲラー博士(専門は地震学。東大名誉教授)は、「地震予知」そのものを否定している。「東日本大震災も熊本地震も、そして大阪大地震も、北海道胆振東部地震も、いったい誰が予見していただろうか。これらの震災が起きることを想定できていた者は、日本中どこにもいない」と述べている。さらにかれは、「政治家(永田町)、官僚(霞が関)、御用地震学者、マスメディア」によって、「日本国民は『地震予知』という幻想に踊らされているのだ」と言っている。

1995年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけとして、政府に地震本部(地震調査研究推進本部)が設置された。これらに所属する政府高官、官僚の委員のほか、研究者は全員御用学者だと、ゲラー博士はいう。

「彼らは「周期説」が既に間違っていると国際的にも明らかにされたにもかかわらず、現在も周期説に基づいた地震予測を平気で毎年発表し続けている」。かれらが毎年発表し続けている「ハザードマップ」(全国地震動予測地図)は「地震本部の『目玉商品』だ」。

「このマップを毎年更新し続ける地震本部には、毎年約100憶円もの予算が政府から付く。(略)地震御用学者たち全員が、正確な短期的な地震予知も長期的な地震予測も科学的に不可能だということを腹の底ではわかっている。わかっていながら、彼らは毎年100億円の予算を獲得し続けようと躍起になっているのだ」

かれらにとって、「本当のことを口に出して言うことは、自殺行為」である。職業的地位を失うし、研究費を失う。かれらの部下も職を失う。メンツもなくし、今後の予算も失う。謝ることはこれまでの関係者の批判にもなるため「誤りを認めることはしない」。「結局、いつまでも間違った政策が続いていく」。

結局、なにも起きなかった。きちんとした説明はないまま、あっさりと「注意」が解除された。たとえ「注意」や事前措置が空振りに終わったとしても、来なかったからいいじゃないか、ということで押し切られる。


地震の危険性を煽れば煽るほど地震の研究資金が増えるというのは、理解できますが、、、

宮崎での地震を受け、記者会見する南海トラフ地震評価検討会の平田直会長(左)

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