The Familial Risk of Autism
以下は、論文要約の抜粋です。
自閉症スペクトラム障害(ASD)は特定の家族に集積するが、個々人のリスク、遺伝性因子がどの程度関与するのかなどは明らかになっていない。
本研究では、1982~2006年に生まれたスウェーデンの3万7570人の双生児を含む小児204万9973人を対象に、自閉症スペクトラム障害(ASD)の家族リスクを人口に基づくコホート研究で推定した。
調査の結果、1万4516人がASDと診断された。10万人年あたりのASD発症率は一卵性双生児で153.0、二卵性双生児8.2、兄弟10.3、異母兄弟2.9、従兄弟2.0などだった。これらの結果から、ASDの遺伝率は約50%であると考えられた。
要するに、同じ遺伝子を持っている場合にASDを発症する確率は約0.5ということで、病気になるかどうかは遺伝が半分、遺伝以外(たぶん環境)が半分という結論です。
スウェーデン全体のデータをまとめただけではなく、診断やフォローアップの確かさも含めて、非常に信頼できる結果だと思います。統合失調症を含むすべての遺伝性発達障害の中で、ASDが最高の遺伝率を示すそうです。発症が早いことを考えると、遺伝学的な研究の対象としては統合失調症よりも適しているような気がします。
また、遺伝子で決まるのが半分ということは、後の半分は治療で何とかなる可能性があるということです。この可能性に期待したいと思います。
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