3科学誌は商業主義…ノーベル受賞者が「絶縁」
以下は、記事の抜粋です。
今年のノーベル賞を受賞したカリフォルニア大のランディ・シェックマン教授が、世界的に有名な3大科学誌は商業主義的な体質で科学研究の現場をゆがめているとして、今後、3誌に論文を投稿しないとの考えを明らかにした。
教授は11月9日、英ガーディアン紙に寄稿し、英ネイチャー、米サイエンス、米セルの3誌を批判した。研究者の多くは、評価が高まるとして、3誌への掲載を競うが、教授は「3誌は科学研究を奨励するよりも、ブランド力を高めて販売部数を増やすことに必死だ」と指摘した。
その上で「人目を引いたり、物議を醸したりする論文を載せる傾向がある」との見方を示し、3誌が注目されやすい流行の研究分野を作り出すことで「その他の重要な分野がおろそかになる」と問題を提起した。
元記事のタイトルは、”How journals like Nature, Cell and Science are damaging science: The incentives offered by top journals distort science, just as big bonuses distort banking”です(記事をみる)。
驚くのは、読売新聞がシェックマン教授が主張する以下の「解決法」をまったく報じていないことです。
There is a better way, through the new breed of open-access journals that are free for anybody to read, and have no expensive subscriptions to promote. Born on the web, they can accept all papers that meet quality standards, with no artificial caps. Many are edited by working scientists, who can assess the worth of papers without regard for citations. As I know from my editorship of eLife, an open access journal funded by the Wellcome Trust, the Howard Hughes Medical Institute and the Max Planck Society, they are publishing world-class science every week.
It is the quality of the science, not the journal’s brand, that matters. Most importantly of all, we scientists need to take action. Like many successful researchers, I have published in the big brands, including the papers that won me the Nobel prize for medicine, which I will be honoured to collect tomorrow.. But no longer. I have now committed my lab to avoiding luxury journals, and I encourage others to do likewise.
「ノーベル賞をとったからこそ言える」とか「新しいオープン・アクセスジャーナル(eLife)の編集長をしているからだろう」とかの邪念は捨てて、素直に彼の意見に耳を傾けましょう。元々”luxury journal”への投稿はアイディアや発見が斬新であればあるほど危険でした。それでも出世や資金獲得のために必要でした。
そもそも”luxury journal”に投稿する目的は、自分の論文が無視されないように、できるだけ多くの読者に読んでもらうことだったはずです。現在では、PubMedに収録されていればどんな雑誌に掲載されていても検索で引っかかるので、よほど意図的に無視されなければ、同じ業界の研究者の目に留まるはずです。
正直なところ、”eLife”というジャーナルのことは初めて知りました。私はシェックマンほど志が高いわけではありませんが、別のオープン・アクセスジャーナル”PLoS ONE”の「厳しく査読はするが、ほとんど掲載する」という方針が健全だと考えています。できれば、Wellcomeトラストなどがサポートして掲載料をもう少し値下げして欲しいものです。
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