不眠症治療薬の有効性と安全性の比較~メタ解析
以下は、記事の抜粋です。
不眠症に対する薬剤クラス間および各薬剤間の相対的な有効性および安全性、そのエビデンスの確実性を比較した研究は十分ではなかった。Bei Pan氏らは、不眠症に対する治療薬の相対的な有効性、安全性、忍容性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・適格基準を満たした研究は148件(患者数:4万6,412例、薬剤クラス数:8、薬剤数:36、試験数:153)であった。
・プラセボと比較し、主観的および客観的に測定された総睡眠時間の有意な改善が認められた薬剤クラスは、非ベンゾジアゼピン、抗うつ薬、オレキシン受容体拮抗薬であった。
●非ベンゾジアゼピン
【主観的】平均差(MD):25.07、確実性:低
【客観的】MD:22.34、確実性:高
●抗うつ薬
【主観的】MD:54.40、確実性:低
【客観的】MD:35.64、確実性:高
●オレキシン受容体拮抗薬
【主観的】MD:21.62、確実性:高
【客観的】MD:31.81、確実性:高
・薬剤別では、doxepin、almorexant、スボレキサント、レンボレキサントは、忍容性が良好で、有害事象リスクが低く、有効な薬剤であった。
・主観的および客観的に測定された睡眠潜時の有意な短縮が認められた薬剤クラスは、非ベンゾジアゼピン、メラトニン受容体作動薬であった。
●非ベンゾジアゼピンど
【主観的】MD:-10.12、確実性:中
【客観的】MD:-12.11、確実性:中
●メラトニン受容体作動薬
【主観的】MD:-7.73、確実性:高
【客観的】MD:-7.04、確実性:中
・とくにzopicloneは、最も効果的かつ有害事象リスクが低かったが、忍容性は劣っていた。
・非ベンゾジアゼピンは、中途覚醒時間の有意な短縮をもたらす可能性が示唆された。
●非ベンゾジアゼピン
【主観的】MD:-16.67、95%CI:-21.79~-11.56、確実性:中
【客観的】MD:-13.92、95%CI:-22.71~-5.14、確実性:中
ここで出てくるzopicloneは、日本では先発薬は市販名「アモバン」として知られています。今ではジェネリックも売られています。日本では、ドキセピン(doxepin)のような抗うつ薬を不眠治療に使うことはありません。依存性は別として、不眠症に一番使えるのは非ベンゾジアゼピンということでしょうか?
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