米バイカルがメラノーマ治療薬の開発中止、株価急落
以下は、記事の抜粋です。
米医薬品会社バイカルは8月12日、皮膚がんの一種であるメラノーマ(黒色腫)治療薬「アロベクチン」について、開発を中止する方針を明らかにした。後期の臨床試験で、化学療法と比較して、腫瘍を小さくしたり生存率を高めたりする点で大きな効果が得られなかったためと説明している。
バイカルのサマントCEOは声明で「経営資源を感染症ワクチン開発に集中し、経費削減を通じて手元資金を確保するため、向こう数週間に必要な改革を行う」と述べた。バイカルはアステラス製薬と、移植後のサイトメガロウイルス感染抑制を目的とするワクチンを共同開発している。発表を受け、米ナスダック市場午前の取引で、バイカル株価は一時60%急落した。
簡単な記事ですが、日本のトップ創薬ベンチャーのアンジェスMGにとっては痛いニュースです。以下は、アンジェスMG山田社長の今年3月25日のインタビュー記事からの抜粋です。
収益の土台「アロベクチン」
転移性メラノーマの遺伝子治療薬「アロベクチン」(米バイカル社との共同開発)のフェーズⅢの結果がいよいよ今年の半ばごろに出て、2014年度末から15年明けにFDA承認を得る計画だ。FDAからは事前にSPA(特別プロトコール査定)を取得していることから迅速な審査に入ることができる。
悪性黒色腫のメラノーマ疾患の患者に切望されるアロベクチンは米国で500億円、欧米合計で1,000億円の市場規模が推定される。先行品があるものの副作用の問題等が報告されている。2015年から市場に出ると当社は売り上げに応じたロイヤルティー収入が見込め、当社の赤字経営の解消につながる。日本を含むアジアでの開発権・販売権も擁しており、これが今後の会社収益の土台になる。
アロベクチンは、プラスミドDNAと脂質リポソームの複合体で、プラスミドDNAは、免疫細胞の標的となるHLA-B7とβ2ミクログロブリンの遺伝子を含み、腫瘍細胞にHLA-B7蛋白質とβ2ミクログロブリン蛋白質を発現させるそうです。脂質リポソームは、プラスミドDNAと複合体を形成し、免疫反応を誘導しやすくするそうです。「理論的には効くはず」ということと「実際に効く」のが遠かった、ということでしょうか。
コメント