ダウン症の原因となる3本の21番染色体の1本の働きを止める事に成功―患者由来iPS細胞が正常化

ダウン症の原因となる染色体の働きを止めることに成功、米研究
以下は、記事の抜粋です。


ダウン症候群を引き起こす染色体の働きを止める実験に成功したという研究結果が7月17日、Nature誌に発表された。研究を発表したマサチューセッツ大の研究チームは、長期にわたる研究が必要だがダウン症候群の治療という目標に向けた道が開けたと述べている。

ダウン症候群は21番染色体がトリソミー(通常より1本多い3本の染色体があること)であることが原因で起きる疾患群で、脳の発達や身体機能に影響を与え、心臓疾患や免疫不全などを引き起こすが、その詳しい仕組みは分かっていない。

研究チームは、この余分な1本の染色体に「XIST」という遺伝子を挿入し、余分な染色体全体の働きを止める「スイッチ」のような働きをさせることに成功した。染色体全体の働きを修正させることに成功したのは初めてだという。

研究チームのJeanne Lawrence教授は、「今回原理が証明されたことを機に多くの症状の研究が進み、将来的には『染色体治療』の研究がなされることを期待する」と話した。研究室での実験に成功したことを受け、研究チームは遺伝子操作で21番染色体をトリソミーにしたマウスを使った実験に着手した。


元論文のタイトルは、”Translating dosage compensation to trisomy 21″です(論文をみる)。

記事には書かれていませんが、この論文で書かれている実験はダウン症候群患者由来のiPS細胞が使われています。発想は非常にシンプルで、X染色体の働きを止めることが知られているXISTというノンコーディングRNAをコードする遺伝子を1本の21番染色体に導入して働きを止めようというものです。

その結果、XIST由来のノンコーディングRNAが、3本ある21番染色体の中1本をコートし、安定なヘテロクロマチン修飾がおこり、染色体全体にわたる転写のサイレンシングが生じ、さらに不活化した21番染色体からできたと思われるバールボディー状の凝集体が観察されたそうです。増殖速度などの細胞機能も正常化したそうです。

本論文は培養細胞レベルの話ですので、個体の治療に応用できるのは、かなり先になると思いますが、技術的な問題だけではなく、倫理的・社会的な問題も多く解決する必要がありそうです。

コメント

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