オミクロン株のBA.4とBA.5系統が米国で急拡大、気になる特徴とは:従来の系統より感染力が強く、ワクチンや過去の感染で獲得された抗体を回避
「BA.5」株が東京や島根で爆発的に増えている理由がわかります。開発中のワクチンも「時代遅れ」だとは、トホホです。以下は、記事の抜粋です。
米国では現在、新型コロナウイルスの新規感染例のうちオミクロン株の2つの系統「BA.4」と「BA.5」による感染が半数以上を占めている。どちらの系統も、過去に新型コロナに感染したことのある人だけでなく、3回目のワクチン接種(ブースター接種)を受けた人においても抗体をすり抜ける能力が高い。
BA.4は2022年1月に、BA.5は2月に南アフリカで最初に特定された。米疾病対策センター(CDC)によれば、それから2カ月も経たないうちに米国でも優勢になったと推定される。米国では6月19〜25日の1週間に、BA.4は新規症例の15.7%を占め、BA.5は36.6%に上った。
「BA.4とBA.5の感染力がこれまでのオミクロン株より強いのは間違いありません」と、北京大学の曹雲竜氏は述べている。曹氏の研究によれば、両系統にはワクチン接種やオミクロン株の感染によって誘導された抗体を回避する能力があり、集団免疫を突破する可能性がある。
このような懸念はあるものの、専門家らはワクチンやブースター接種にまったく効果がないわけではないと強調する。「現在のワクチンによる免疫でも、重症化や入院、死亡を防ぐ大きな効果が期待されます」と、ハーバード大学のダン・バルーク氏は言う。
「ファイザー社製ワクチンの接種を3回受けた後でさえ、BA.4とBA.5はこれまでのオミクロン株より巧みに、ワクチンや感染で誘導された抗体を逃れていました」とバルーク氏は言う。氏の研究では、ワクチン接種後にオミクロン株にブレークスルー感染することによって得られた抗体さえもBA.4とBA.5はかなり回避できることが示された。
BA.4とBA.5はほとんど同じだが、英保健安全局のデータによれば、BA.5の方がBA.4やその他すべての系統のオミクロン株より伝播のスピードが速い。
両系統とオミクロン株のBA.2系統との違いは、ウイルスのスパイクタンパク質にわずか6つの変異があることだけだ。そのうちの1つに、スパイクタンパク質の「L452R」という変異がある。この変異が既存の抗体の能力を弱めることが示された。
ただし、BA.4とBA.5がヒトでもより重い疾患を生じさせうると言うのは時期尚早だ。南アフリカでは、BA.4とBA.5による感染の急増は、これまでのオミクロン株による感染拡大の「波」のときほど入院の増加に結びついていない。ただし、南アフリカの人口構成はほかの国に比べてかなり若い。
一方、現在BA.5が新規感染例のほぼ90%を占めるポルトガルでは、この6カ月間に主に60歳以上の人の間で入院と集中治療室での処置が増加した。
モデルナ社とファイザー社はいずれも、承認済みのワクチンと同じ祖先株の新型コロナウイルスと、オミクロン株のBA.1系統の両方に基づく新たな「2価」ブースターワクチンの開発に取り組んでいる。更新された2価ブースターがBA.4およびBA.5に対してどれほど効果的かは不明だ。モデルナ社とファイザー社のどちらのブースター候補も、この2系統に対する抗体反応はBA.1系統より弱かったからだ。米食品医薬品局(FDA)は、これらの2価ブースターが「すでに少し時代遅れ」になっていることを認めている。
今後、感染者が急増することは間違いなさそうですが、重症者の増加が急でないことを願います。
コメント