オミクロン株BA.4/BA.5、BA.2より免疫逃避しやすい?
以下は、記事の抜水です。今後は、日本でもBA.5株の感染が広まることが予想されます。
米国ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのNicole P. Hachmann氏らが、ワクチン接種者とCOVID-19既感染者において、オミクロン株BA.1、BA.2、BA.2.12.1、BA.4、BA.5に対する中和抗体価を測定したところ、BA.2.12.1、BA.4、BA.5といった新系統の亜種が、ワクチンと感染による免疫から逃避する可能性があることが示された。
本研究では、ファイザー製ワクチンを2回接種し、その後ブースター接種した27例と、オミクロン株BA.1またはBA.2に感染した27例において、パンデミック初期に米国で初めて分離された従来株(WA1/2020株)、およびオミクロン株BA.1、BA.2、BA.2.12.1、BA.4、BA.5に対する中和抗体価を測定し、その中央値が求められた。なお、BA.4とBA.5はスパイク蛋白の配列が同一である。
主な結果は以下のとおり。
・ワクチン接種群において、6ヵ月後の中和抗体価は、WA1/2020株に対して124U/mLであったが、すべてのオミクロン株亜種に対しては20U/mL未満であった。ブースター接種2週間後の中和抗体価は、WA1/2020株に対して5,783U/mL、BA.1に対して900U/mL、BA.2に対して829U/mL、新系統のBA.2.12.1に対して410U/mL、BA.4またはBA.5に対して275U/mLとなり、いずれもブースター接種後は中和抗体価が大きく増加した。しかし、WA1/2020株に対する中和抗体価と比較すると、BA.1やBA.2は6~7分の1に低下している一方で、BA.2.12.1は14分の1、BA.4とBA.5は21分の1に中和抗体価が大幅に低下している。
・オミクロン株BA.1またはBA.2の既感染群の中和抗体価は、WA1/2020株に対して1万1,050U/mL、BA.1に対して1,740U/mL、BA.2に対して1,910U/mL、BA.2.12.1に対して1,150U/mL、BA.4またはBA.5に対して590U/mLであった。WA1/2020株に対する中和抗体価と比較すると、BA.1は6.4の1、BA.2は5.8分の1、BA.2.12.1は9.6分の1、BA.4とBA.5は18.7分の1に低下している。
本研究の結果、オミクロン株新系統のBA.2.12.1、BA.4、BA.5は、現在日本で主流のBA.2よりも、ワクチン接種と感染による免疫から逃避しやすいことが示された。ワクチン接種や、BA.1やBA.2の感染既往のある集団においても、BA.2.12.1、BA.4、BA.5への感染が増加する可能性が考えられる。
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