中等~重症のクローン病、リサンキズマブ導入療法が有効
以下は、記事の抜粋です。
中等症~重症の活動期クローン病患者において、IL-23 p19阻害薬リサンキズマブは導入療法として有効であり忍容性も良好であることが示された。アムステルダム大学のGreet D’Haens氏らが、ADVANCE試験とMOTIVATE試験とよばれる2つの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。
1,549例を対象に、リサンキズマブ2用量の有効性と安全性をプラセボと比較
対象は16~80歳の中等症から重症の活動期クローン病患者で、適格患者をリサンキズマブ600mg群、1,200mg群、またはプラセボ群(いずれも0、4および8週目に単回静脈内投与)に無作為に割り付けた。主要評価項目は、12週時の臨床的寛解および内視鏡的改善であった。
臨床的寛解率はプラセボ19~25% vs.リサンキズマブ35~45%
ADVANCE試験では、臨床的寛解率はプラセボ群25%に対して、リサンキズマブ600mg群45%、1,200mg群42%であり、排便回数・腹痛スコアによる臨床的寛解率はそれぞれ22%、43%、41%であった。また、内視鏡的寛解率はそれぞれ12%、40%、32%であった。
MOTIVATE試験では、臨床的寛解率はプラセボ群20%に対して、リサンキズマブ600mg群42%、1,200mg群40%、排便回数・腹痛スコアによる臨床的寛解率はそれぞれ19%、35%、40%、内視鏡的寛解率はそれぞれ11%、29%、34%であった。
リサンキズマブ(スキリージ®)は、生物学的製剤(抗体医薬)のひとつで、IL(インターロイキン)-23p19という物質の働きを抑える薬として2019年に発売されました。主に尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の治療に用いられています。
IL-23p19は、「炎症性サイトカイン」のひとつで、免疫反応で働く樹状細胞から産生されます。乾癬では何らかの理由で樹状細胞がIL-23を過剰に産生します。IL-23はリンパ球を刺激して乾癬の皮膚や関節の症状を引き起こすIL-17を多く産生させ炎症を引きおこします。
以下は、乾癬に対するリサンキズマブの使い方です。上記のクローン病にたいする臨床試験ではかなり大量のリサンキズマブが使われていることがわかります。有効そうですが、医療費は膨大です。
効能・効果 | 既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬 |
用法・用量 | リサンキズマブとして、1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与する。 なお、患者の状態に応じて1回75mgを投与することができる。 |
収載時の薬価 | 75mgシリンジ:239,374円 150mgシリンジ:474,616円 150mgペン:474,761円 |
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