The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2012
2012年の「生理学または医学におけるノーベル賞」は、山中伸弥氏とSir John B. Gurdon氏に贈られることが決まりました。授賞理由は、”for the discovery that mature cells can be reprogrammed to become pluripotent(成熟細胞が多能性をもつように再プログラムできることの発見)”です。
山中氏の仕事は良く知られていると思うので、Gurdon氏のことを紹介します。ノーベル賞のサイトには、ノーベル賞委員会が氏に授賞を知らせた時の電話でのインタビューが紹介されています(インタビューをみる)。以下にその一部を紹介します。
I was indeed a graduate student when the major result was obtained. That’s absolutely right, and that was in 1958 and then I took a post-doc job in California, working in a completely unrelated field. So I left my frogs, which I had grown, with my supervisor who had moved to Geneva and he and a technician grew them up. So by 1962, they were adults and one could publish a paper to say that these animals, derived from nuclear transfer, really were absolutely normal. So it took a little time to get through.
意訳すると、彼がカエルでリプロブラミングを発見したもっとも重要な実験は、1958年彼が大学院生の時に行ったものです。その後数年間、彼はカリフォルニアでポスドクとして全く別の研究に従事しました。その間、彼が大人カエルの細胞からとりだした核を注入して作ったオタマジャクシは、彼の指導教員とそのテクニシャンとが移動したジュネーブで育ててくれました。正常に成長したカエルを使って、彼は1962年に授賞の理由になった下の論文を書いたそうです。指導教員は本当に良い人ですね。
Gurdon, J. B. (1962). “The developmental capacity of nuclei taken from intestinal epithelium cells of feeding tadpoles”. Journal of embryology and experimental morphology 10: 622–640.
彼は1933年生まれですので、当時は29歳、現在は79歳です。しかし、彼のホームページをみると、まだまだ現役バリバリで、素晴らしい業績を出し続けていることがわかります(ホームページをみる)。あと、インタビューでは、彼が論文を書いた1962年に山中氏が生まれたのは驚くべき偶然の一致だとか言っています。山中氏が比較的若い年齢で受賞できたのは、この年齢差も貢献しているかもしれません。
山中氏の記事としては、以下のものが一番微笑ましいと思いました。
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