トランスユーラシア語族のルーツは農業にあった
以下は、記事の抜粋です。
トランスユーラシア語族(日本語、韓国語、ツングース語、モンゴル語、チュルク語からなる)は、約9000年前の中国に起源があり、その普及は農業によって促進された可能性があることを明らかにした論文が、Nature に掲載される。今回の研究は、東ユーラシア言語史における重要な時期について解明を進める上で役立つ。
トランスユーラシア語族は、東は日本、韓国、シベリアから西はトルコに至るユーラシア大陸全域に広範に分布しているが、この語族の起源と普及については、人口の分散、農業の拡大、言語の分散のそれぞれが議論を複雑化させ、激しい論争になっている。
今回、Martine Robbeetsたちは、3つの研究分野(歴史言語学、古代DNA研究、考古学)を結集して、トランスユーラシア語族の言語が約9000年前の中国北東部の遼河流域の初期のキビ農家まで辿れることを明らかにした。その後、農民たちが北東アジア全体に移動するにつれて、これらの言語は、北西方向にはシベリアとステップ地域へ、東方向には韓国と日本へ広がったと考えられる。
トランスユーラシア語族に関しては、もっと最近の紀元前2000~1000年ごろを起源とし、東部のステップから移動してきた遊牧民が分散を主導したとする「遊牧民仮説」が提唱されているが、今回の知見は、この仮説に疑問を投げ掛けている。
私は、モンゴル語と韓国語と日本語の構造が似ているので、遊牧民族由来かなと漠然と考えていたのですが、そうではなさそうです。農業の発展と人口増加の波が大陸から朝鮮半島を経て日本列島に押し寄せてきたと考えられるようです。この研究には琉球大学のスタッフも共同研究者として参加しており、研究成果として発表しています(発表をみる)。以下の図は琉球大の発表からです。
遼河は、河北省、内蒙古自治区、吉林省、遼寧省を流れ、渤海に注ぐ大きな河川で、その支流の一部は中国東北地方最大の都市である瀋陽の近くを流れています。瀋陽には共同研究者がいます。この辺りが日本語のルーツだとすると、私は日本語がやって来た道を何度も遡っていたことになります。
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