14-3-3タンパク質はイネの「花咲かホルモン」(フロリゲン)の細胞内受容体として働く

「花咲かじいさん」夢じゃない 奈良先端大、細胞内メカニズムを世界初の発見・解明

以下は、記事の抜粋です。


植物が花を咲かせる上で重要な働きをする「花咲かホルモン」(フロリゲン)をキャッチして細胞内に知らせる受容体を、奈良先端大の島本功教授らの研究グループが世界で初めて発見し、8月1日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

島本教授らは平成19年にフロリゲンが「Hd3a」と呼ばれるタンパク質であることを突き止めていた。しかし、細胞内でフロリゲンが受容されるメカニズムや、花を咲かせる仕組みは解明されていなかった。

今回、研究グループはイネを使い、フロリゲンと結合するタンパク質を調査。その結果、「14-3-3」というタンパク質が受容体として働くことを突き止め、別のタンパク質とともに結合体を形成することを発見した。

さらに、この複合体が細胞内でどのように構築されるのか解析したところ、フロリゲンが14-3-3に受容され、核内へ移動して結合体を形成。この結合体が、花を咲かせる遺伝子を活性化することが明らかになった。また、フロリゲンと受容体の結合の強度を変えることで、花を咲かせる時期を変化させることにも成功した。


元論文のタイトルは、”14-3-3 proteins act as intracellular receptors for rice Hd3a florigen”です(論文をみる)。

植物のモデル生物として用いられているシロイヌナズナは長日植物で、短日植物であるイネとは異なるメカニズムで開花すると考えられています。島本さんらのグループは、イネの開花メカニズムを調べる中で、イネではHd3aがフロリゲン(florigen)であることを発見しました(説明をみる)。シロイヌナズナでは、FLOWERING LOCUS T (FT)というHd3aのホモログがフロリゲンであることがわかっています。

シロイヌナズナでは、bZIP転写因子FDがフロリゲンFTによって活性化された結果、AP1などの花芽分裂組織識別遺伝子の発現が活性化されることがわかっていました。しかし、フロリゲンがFDを活性化するメカニズムは不明でした。

本研究では、イネのフロゲリンHd3aと相互作用するタンパク質をtwo-hybridでスクリーニングし、イネの14-3-3タンパク質であるGF14cとイネのFDホモログOsFD1を同定しました。解析の結果、Hd3aとOsFD1はGF14cを介して結合し、複合体を形成することがわかりました。florigen activation complex (FAC)とよばれるこの複合体がDNAと相互作用するようです。

花芽の近くの細胞に運ばれたHd3aは、細胞質に豊富に存在する14-3-3と結合し、この複合体が核へ移行します。そこで、OsFD1の192番目のセリンがリン酸化された部位を14-3-3が認識してFACをつくり、転写を活性化すると考えられています。あるいは、FACが細胞質で作られた後で核へ移行する可能性もあります。

14-3-3がフロリゲンと転写因子の複合体形成と核移行に働くという話でした。

島本研のサイトより

コメント

タイトルとURLをコピーしました