「地震予知、即刻中止を」 東大教授、英誌に掲載
以下は、記事の抜粋です。
「日本政府は不毛な地震予知を即刻やめるべき」などとする、ロバート・ゲラー東大教授(地震学)の論文が4月14日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
「(常に)日本全土が地震の危険にさらされており、特定の地域のリスクを評価できない」とし、国民や政府に「想定外」に備えるよう求めた。「今こそ(政府は)地震を予知できないことを国民に率直に伝えるとき」とも提言している。
論文では、予知の根拠とされる地震の前兆現象について「近代的な測定技術では見つかっていない」と指摘し、「国内で1979年以降10人以上の死者が出た地震は、予知では確率が低いとされていた地域で発生」と分析。マグニチュード8クラスの東海・東南海・南海地震を想定した地震予知は、方法論に欠陥がある、としている。
教授は「地震研究は官僚主導ではなく、科学的根拠に基づいて研究者主導で進められるべきだ」として、政府の地震予知政策の根拠法令となっている大規模地震対策特別措置法の廃止を求めた。また、福島第1原発事故についても「最大38メートルの津波が東北地方を襲ったとされる1896年の明治三陸地震は世界的によく知られている」とし、「当然、原発も対策されているべきで、『想定外』は論外だ」とした。
元論文(実際にはコメント)のタイトルは、”Shake-up time for Japanese seismology“です(コメントをみる)。ゲラーさん自身による翻訳、「日本の地震学、改革の時」もみることができます(翻訳をみる)。以下は、翻訳のごく一部の抜粋です。
予測が不能な地震
1970年代後半になると、大半の研究者は、地震の前兆報告が誤りであったことを認識するようになった。地震予知のバブルはこうしてはじけたが、多くの似たような例(常温核融合など)と同様、今でもわずかに残った一部研究者が地震の前兆という主張を続けている。
根拠のない予知法
1970年代半ばに差し迫っているとされた東海地震に関する議論は、日本中をなかばパニック状態にした。この状況を利用して、気象庁や大学の科学者は1978年に「大規模地震対策特別措置法」(以下、大震法)の制定を促した。日本政府がいまだに法的に拘束力のある地震予知体制を運用していることには、驚きを禁じえない。
正直な議論の必要性
東海地震予知体制が30年以上にわたって継続されているにもかかわらず、多くの主流の日本の地震学者は何の異議も申し立てていない。その理由は多少複雑である。第1に、多くの研究者がさまざまな点(予算配分、委員ポストなど)で癒着している。第2に、審議会は官僚が指名する委員から構成されている。第3に、説得力のある批判は放送マスコミではほとんど無視されるために、インパクトが乏しい。第4に、政府は「記者クラブ」制度を介して、直接マスコミにその見解を伝えることができる。そして、しばしば報道記者は科学の知識に乏しい。
研究者は国民と政府に「想定外に備える」ことを勧告しなければならない
今こそ、地震予知が不可能であることを率直に国民に伝え、東海地震予知体制を廃止して、大震法を撤廃する時である。日本全土が地震の危険にさらされているのであって、現在の地震学では、特定の地域のリスクレベルを的確に評価することはできない。その代わりに、研究者は国民と政府に「想定外に備える」ことを勧告しなければならない。そして、研究者は知っていることと知らないことの両方を正確に客観的に知らせなければならない。
風力発電も「補助金ゲーム」で、国からの補助金を貰えたりするので、発電しているフリをしているだけということでしたが、地震予知研究も多額の補助金を受け取って研究しているフリをしているだけのようです。
「補助金ゲーム」はいろいろなところに広がっています。新薬の研究開発は、1万の候補化合物の中から1つの宝石をさがすような大変な仕事です。医療上の必要性が高くても、患者数が少ない疾患の治療薬(オーファンドラッグ)は、研究開発への投資が薬の売り上げを確実に上回るため、放っておけばどの会社も手を出しません。
ここでも「補助金ゲーム」があるという話を以前関係者から聞いたことがあります。研究しているフリをしているだけということはないと思いますが、確実に補助金がもらえるオーファンドラッグが重要な収入源になっている会社もあるそうです。
ゲラーさんがおっしゃるように、「研究者は(補助金の誘惑を断ち切って)知っていることと知らないことの両方を正確に客観的に知らせなければならない」と思います。
コメント
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夏目漱石の弟子でもある物理学者の寺田虎彦は100年近く前から地震の予報についての可能性について論じています。「自然現象の予報」「地震雑感」等
政府がこのようなお粗末な学者を抱えて今までやってこれたことが驚きです。日本政府は無駄に使えるお金がたくさんあるのですね。