ヒト成長ホルモンは、オリンピック100m決勝でビリの選手を優勝させることができる。

Human growth hormone ‘makes worst athlete the best’

以下は、記事の抜粋です。


5月4日に発表された研究で、ヒト成長ホルモン(human growth hormone, HGH)が身体能力を増強する事が初めて示された。研究者らは、ホルモンの注射によってスポーツ選手のスプリント能力が増強される事を発見した。

結果では、100mダッシュで10秒のところが0.4秒速くなった。この改善をプロ選手にもあてはめると、オリンピック決勝で最下位の選手が金メダルをとることになる、とこの研究を主導したKen Ho博士は述べた。

8週間の研究期間中に18から40歳の計96人のアマチュア選手は、HGHあるいは偽薬の注射を受けた。63名の男性参加者の中半数は、テストステロンあるいは偽薬の追加注射を受けた。

テストステロン注射を受けた男子選手のスピード増強効果は、HGH単独注射を受けた選手の約2倍だった。

結果はまた、HGH注射はスプリント能力は増強するけれども、重量挙げやジャンプの能力には影響しないことを明らかにした。さらに、HGHは脂肪体積を有意に減少させるけれども筋肉体積は増加させないことも明らかにした。

注射中止後6週後には、参加者のスプリント能力は元に戻った。HGH注射を受けた参加者は、関節の主張と痛みを訴えた。これらの結果は、Annals of Internal Medicineに掲載された。

オリンピック委員会は、著名なスポーツ選手達がHGHを使用している可能性について、関心を持ち始めている。

昨年11月、英国プロラグビーリーグのTerry Newtonは、HGH検査で陽性となった最初のプロスポーツマンとして話題になり、自動的に2年間の出場禁止になった。

Ho博士は、「我々が使ったHGH量は、スポーツ選手で使われているといわれている量の中でも最低に近い。だから、実際に使用されているHGHの効果はこの研究での報告よりもずっと大きいはずだ。副作用ももっと重大かもしれない」と述べた。


元論文のタイトルは、”The Effects of Growth Hormone on Body Composition and Physical Performance in Recreational Athletes: A Randomized Trial”です(論文をみる)。

投与されたHGHは、(2 mg/d 皮下)、テストステロン (250 mg/wk 筋肉)です。HGHはスプリント能力を3.9%増強し、テストステロンと併用した場合は8.3%増強したそうです。HGH単独では、筋肉体積を増加させず、筋力やジャンプ力を増強しなかったことがおもしろいと思いました。

アメリカのプロスポーツ業界はこれまで、HGHの運動能力増強効果には懐疑的で、ドーピング検査についても測定が難しいという理由で消極的でした。しかし、尿中のHGHを測ることは困難ですが、血中の場合、投与後数日であれば測定可能だそうです。

このような研究発表が出たので、抜き打ちHGH検査が行われることになりそうです。

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