大半のマスコミは、タミフル(一般名:オセルタミビル)をインフルエンザの特効薬だと言って、インフルエンザと診断されたら必ず使うべきかのように報道しています。一方、薬害タミフル脳症被害者の会は、「ふつうのインフルエンザは自然に治る感染症です。タミフルは、症状、特に熱が治まるのを、ほんの1日程度早めるだけです。」と言っています。どちらが正しいのでしょうか?
「薬機発第194 号審査結果通知書」と「効能・効果,用法・用量,使用上の注意(案) 及びその設定根拠」を参考にしました。これらは、実験や二重盲検法などで得られたデータのまとめですので、正しいと考えました。
以下はその抜粋です。
1.本剤(タミフル)は、試験管内でインフルエンザウイルス増殖を阻害した。2.本剤の経口投与によりマウス,フェレットでのインフルエンザ感染モデルで,用量に依存して生存数の増加,症状の改善,ウイルス力価,ウイルス放出量の減少などの治療効果が認められた。3.本剤をウイルス感染前より投与したニワトリの感染モデルでは,本剤の予防効果が認められた。
臨床試験の結果、1.インフルエンザ流行期間を通した季節的予防およびインフルエンザ患者接触後予防において、プラセボ投与群よりも発症率を有意に抑制した。2.慢性の心臓・呼吸器疾患患者に対する治療効果は,本剤投与群はプラセボ投与群に比べ罹病期間の短縮効果は認められなかったが,熱に関連する症状を改善し,ウイルス放出期間を短縮した。
使用上の注意、「インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2 日以内に投与を開始すること(接触後48 時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない)。インフルエンザウイルスは,症状発現の24 時間前から急速に増加し,症状発現後48時間以内にピークに達することに基づき設定した。」
タミフル(オセルタミビル)やリレンザ(ザナミビル)は、ノイラミニダーゼ阻害薬です。ノイラミニダーゼは、ウイルスが宿主細胞から遊離する際に必要ですので、ウイルスが細胞に感染するのを防ぎますが、ウイルスを殺すわけではありません。このメカニズムは、上記の臨床試験でタミフルがインフルエンザの予防に効果があることを良く説明できます。
一方、一度増えてしまったウイルスを減らす効果は期待できないので、症状発現後48時間以内にしか効かないという使用上の注意とも矛盾しません。ただし、その場合でも、ウイルス放出期間は短縮し、熱に関連する症状を改善する(解熱?)可能性はあります。
まとめると、予防的な使用が最も効果的です(保険は適用されません)。時間経過とともに効きにくくなり、発症後48時間以上経つと、ウイルスの放出抑制や解熱効果はあるかもしれないが、羅病期間は短縮できない。ということだと思います。
インフルエンザであることがほぼ間違いなく、発症後48時間以内であれば使うべきだと思います。それ以外での使用は控えたほうが良いでしょう。
コメント
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僕はインフルエンザにとても興味があり、takさんのブログはわかりやすくって勉強になります。
あっ!ブログ開設100日目、おめでとうございます(≧∨≦☆)★
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>KIi☆さん
100日目ですか。まったく気がつきませんでした。教えていただき、ありがとうございます。