AIGのボーナス・公務員のボーナス

ブログのデザインを少し変えました。季節にあわせたつもりです。

米下院は3月19日、AIGなど50億ドル(約4800億円)超の公的資本注入を受けた金融機関が従業員に支給したボーナスに90%という税率で課税する法案を可決しました。オバマ大統領も法案への支持を表明しています。しかし、問題を抱えた金融機関から優秀な人材が出て行くことで、金融危機を一段と深刻化させるという懸念もあるようです。

このような中、3月24日、The New York TimesのOpinion欄に掲載されたDear A.I.G., I Quit!という手紙が話題になっています。

この手紙は、上の画像のように、A.I.G.のfinancial products unit (FP)のJake DeSantis取締役副社長からLiddy CEOに送られた公開辞表メールです。

Jake DeSantis氏が給料は1ドルと書いているように、米金融大手の従業員のうち、市場取引などに従事する社員のほとんどは、年収の大半をボーナスで受け取ることになっていました。

以下は、退職願:AIG CEO殿からの抜粋です。


Liddy CEO様

私はこのたび、AIG FPを辞職することを決断致しました。その経緯をCEOであるあなたに説明したいと思います。

私は今まで11年間、AIG FPでのキャリアに誇りを持って携わって来ました。そして私は、会社を破綻に追い込んだCDSに関連する業務には、一切関与しておりません。本当に責任のある人々は既に会社を去っています。

AIGの経営陣は、これまでずっと、ボーナスの支払いを約束して来ました。その代りに私は、給料を1ドルとすることを迫られました。私は会社への忠誠心と、会社を救済してくれた政治家、そして納税者への義務感から、これを受け入れました。

しかし今、不当な形で経営陣と政治家の双方に裏切られ、世間でも異常な立場に立たされ、正常な状態で勤務を続けることが、出来なくなりました。

あなたのCEOとしての働きぶりは賞賛に値しますし、あなたも私と同様に、今回の破綻に何の責任もありません。しかし、合衆国議会やNY州とCT州の検事総長による、根拠のない批判に対し、私たちを守ってくれることも無いようです。

契約に従って12ヶ月間働いてきた我々には、支払いを受ける権利があると思います。ボーナスを返済する唯一のインセンティブ、それは「恐怖心」です。NY州のCuomo検事総長は、ボーナスを受け取った人を「辱める」ために、氏名を一般公表するべきだと言っています。

私は、会社を辞職し、72万ドルのボーナスは、今回の金融危機で被害にあった人達に、全額寄付することにしました。私はこのお金を1ドルも懐に入れるつもりはありませんが、同時に、無益に税金として取上げられて、いい加減なAIGや政府の予算に回されることも本意ではありません。


上のメールに対する反響は、アメリカでも日本でもほぼ同じで、支持と批判が半々です。

ホリエモンもブログで同じ手紙を紹介していますが、人気ブログだけあって、ものすごくいろいろなコメントが寄せられています。

コメントの一つに、『日本の公務員も借金山ほど抱えながら、毎年給料増えて、高額のボーナスが出ている。AIGの事叩くなら公務員も叩かなきゃ。最近のマスコミは不平等。信用ならない。』というのがありました。私も、まったく同じ事を考えていました。

私だったら、こんな手紙を書かずに黙ってAIGに残ったと思いますが、危険を覚悟で手紙を書いたJake DeSantisさんの勇気と手紙を採用したNew York Timesの見識を素晴らしいと思いました。

コメント

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