「酒は百薬の長」と言われてきたが カナダ、豪州の研究で完全否定

「酒は百薬の長」と言われてきたが カナダ、豪州の研究で完全否定
以下は、記事の抜粋です。


適度な飲酒に寿命延長効果はなく、飲酒しない人と寿命に違いはない――「酒は百薬の長」を否定する研究結果が発表された。

これまで、1日の平均飲酒量と死亡率の関係を分析した研究結果などから、アルコール量が1日20グラム以下(ビール1缶以下)の飲酒をする人は、飲酒しない人に比べ、死亡率が低下するとされていた。

しかし、研究チームは、飲酒しない人の多くが以前は飲酒をしており、禁酒した理由として、病気になったことを挙げる人が多かったことに注目。死亡リスクに影響する疾患の有無と、飲酒の影響を混同しているのではないかと推測した。

今回の研究では、アルコールと死亡率の関係を追跡調査した研究論文87件を解析しているが、その際、禁酒の理由や経過が明記されていない論文は除外。疾患の有無と飲酒の影響を明確に区別して、分析をおこなった。

その結果、一般的に「適度な飲酒(アルコール量で1日1.3~24.9グラム)」とされるレベルの人と、まったく飲酒をしない人を比較しても、死亡率の有意な減少は確認できなかった。


関連記事に書いたように、rs1229984とよばれるSNP(一塩基多型)を持つヒトは、アルコールを飲むとアセトアルデヒドができて気分が悪くなりやすいためか、アルコール消費量は、野生型のヒトと比べて、1週間のアルコール消費量が17.2%少なく、血圧、血中interleukin-6レベル、ウエスト周囲、BMIもすべて低かったそうです。さらに、冠動脈疾患や虚血性の脳梗塞のリスクも低かったそうです(記事をみる)。

一塩基多型の論文と上の記事で引用されている論文の結果を合わせて考えると、「適量の酒は体に良い」ことはなさそうです。

別の関連記事で紹介したLancetの論文によると、人体への有害性はヘロイン、クラック・コカイン、メタンフェタミンが最も高かったけれども、医療制度に及ぼす影響などの広範な社会的影響を考慮した場合は、アルコールが最も危険で、ヘロインやクラック・コカインがあとに続き、100を最高とした危険度は、アルコールが72で、ヘロインが55、クラック・コカインが54だと結論しています。

厚労省のホームページには、アルコール中毒についての重要な情報がしっかりと書かれています(ホームページをみる)。できれば良く読み、体に決して良くないお酒を上手に楽しんでください。

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