歴史を無視した「生前退位」論議はもうやめよう…終身在位も男系天皇も「古来の伝統」ではない

歴史を無視した「生前退位」論議はもうやめよう…終身在位も男系天皇も「古来の伝統」ではない
以下は、記事の抜粋です。


渡部昇一氏や櫻井よしこ氏などの保守派の脳内では「万世一系」の天皇が神武天皇から続いているのかもしれないが、もちろんそれは神話である。終身在位で男系男子の「天皇制」は明治時代につくられた新しい制度なのだ。

江戸時代まで天皇は摂政や将軍の決定を追認する無力な君主だったが、保守派は明治時代の「強い天皇」を神武以来の伝統と錯覚し、「生前退位は日本の伝統に反する」などと言っている。

「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と規定している皇室典範も明治以降の新しい制度だ。

天皇は1000年以上も名目的な存在だったので、憲法で「主権者」に昇格しても何もできず、内閣に任せるしかなかった。ところが明治憲法では、政党内閣が力をもたないように内閣を消してしまった。この奇妙な天皇制が意思決定の混乱を招き、日本が戦争に突入する原因になった。

終身在位も男系天皇も古来の伝統ではない。保守派が守ろうとしている終身在位も伝統ではない。江戸時代には、天皇は幕府の都合で生前退位させられたが、幕府も関心をなくした19世紀の仁孝天皇からは終身になった。

男系男子も伝統ではなく、女帝も多い。中世までの結婚は女系家族に婿入りする妻問婚(招婿婚)だった。古来の伝統に戻すなら、女系天皇にすべきだ。

要するに保守派が伝統だと思い込んでいる天皇制は、明治憲法でつくられた新しい制度であり、江戸時代より前の天皇は、藤原氏や幕府の権力闘争で決められ、事実上の権力者の都合で退位させられた傀儡にすぎなかった。

安倍首相や稲田氏をはじめとする保守派は、江戸時代以前の歴史をまったく知らないか、無視している。これは左翼とか右翼というイデオロギーの問題ではなく、天皇を利用して国民感情を統合しようとする日本型ポピュリズムと呼んだほうがいい。

保守派に利用される天皇は気の毒だ。「激務に疲れたので引退したい」という天皇の言葉を素直に受け止めてあげてはどうだろうか。


日本文化の独自性は、良いか悪いかは別にして、300年に渡る江戸幕府の鎖国制度によるものだと思います。それまでの、日本は大陸からの輸入文化をありがたく借用していただけです。また、明治政府は、池田信夫氏が指摘するように、キリスト教の代わりに神道と天皇を権威化して、国民感情を統合しようとしました。制度の大半は西洋列強のモノマネでした。

池田信夫氏が「保守派」と書いている人達は、100年も続かなかったにわか作りの「天皇制」を日本の「伝統」として、自分たちの政治的利益のために利用しようとしているように思えます。

コメント

  1. あ* より:

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    「池田信夫氏が「保守派」と書いている人達は、100年も続かなかったにわか作りの「天皇制」を日本の「伝統」として、自分たちの政治的利益のために利用しようとしているように思えます」という点に同感です。
    普通の人は、そう思うのではないかと。
    お前が言うなって言われますが、何と申しますか?

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